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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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友情と成長-4

めそめそ泣いていた僕、そんな僕は気が付いたら皆の馴染みのラーメン店へ居た。

「へいお待ちぃ!」
「うふふ♡」

僕の隣の席に居る一条君は大皿のラーメンに炒飯を目の前にウキウキしている。

「…そ、そんなに一杯食べられるの?」
「?何言ってるの、こんなのミニサイズじゃないの。」

この人、冗談で言ってるの?それとも。

「君こそそんな少ないので大丈夫?」
「え、普通だと思うけど…。」

彼からしたらあのサイズが普通なのか、まぁ僕は小食かな…よく食事は残す方だし。

「そんなんじゃ強い男になれんぞー。」
「良いよ僕美術部だし。」
「そっかぁーでもそれもいっか、柔らくて可愛らしいし食べごたえもある。」

なんのこっちゃ…。

「柊さん、転校するんだって?じいじとママンの為に。」
「うっ!ごほっごほっ!」

あまりにも直球過ぎて餃子を喉に詰まらせてしまった。

「おおぅ!ほら僕のスープを飲みなよ。」
「あ、ありがとう…っ!?辛ぁっ!」

喉にツーンと来る程に激辛スープ、そういやこの店で一番辛いっていうラーメンを頼んでたな、唐辛子何個使ってるんだ。

「100個。」
「…え?」

また何をふざけた事を、でもあの尋常じゃない辛さ、そして全てを悟ったように目を瞑る
店主さん、まさか頼んで特別に?

顔に凄い汗は搔いてるけど幸せそうなまんべんの笑みを浮かべ皿ごとスープを飲む干す。
そこに人間が本来感じる辛さによる苦痛な表情は一切ない。

この人、本当に人間なのかな?

「で?君は本当に平気なの?」
「平気じゃないよー!誰だって辛いよ!」
「だよねー、断らなかったの?」
「出来る訳ないじゃん!そんな行き成り差し出すから。」
「あれ?話って急だったの?柊さんの家で話あったから薄々は…。」
「へ?………。」

……

この人、本当にめんどくさっ!

横でクスクスと笑い出す、やっぱりワザとか…。公園での話の後、とぼとぼと帰宅してたら彼と会い、「ラーメン嫌い?」と、誘ってきて、断る理由もないし一緒に店へ行って。

落ち着きを取り戻す為、お冷を口にする。

「彼女がマザーの所に行くと聞いて冷っとした?」
「お冷とかけたの?」
「そう!ごめんね急にラーメン誘って…面目ない!」
「よく思いつくね…。」
「あっははははぁ!♪」

いい加減本題に移りたい…。早くしないと2500文字超えちゃうよ。

「…そりゃ彼女が居なくなるって聞いた時、全然大丈夫だった…っていえば嘘になる。」
「ズズー。」

聞いているのか?構わず麺をすする。

「でも!受け入れないと駄目なんだよ、彼女だって寂しいのは一緒だし、それを理解した
上でその選択を決断したんだ、なら僕も泣いてないで彼女の考えを受け入れないと。」
「ズズズー、あっチャーシューまだ隠れてたラッキー♪」
「悲しいけどそうやって受け入れる他ないもん!電話やメールだってあるし本当にたまに
だけど会いに行けば良いし。」
「ふぃーー凄い量だった、物足りない。」

気づけばあっと言う間に大皿がつるんと綺麗に空に。

「だから、その、僕は…。」
「偉い!」
「っ!」
「やっぱそれしかないもんねぇー。」
「…うん。」
「だったらめそめそ泣いてないで楽しく笑ってた方がずっと良いよ!」
「そうだよね……!」

ひょっとしてその為に態々?

「帰宅中に会ったのって…。」
「あははーバレたぁー?実はあの後巴から電話があってね、柊さんを通して。」
「僕が泣いてると考え、伊吹さんに頼んでそこから貴方に付き添ってと。」
「うーん、微妙に違うな。」
「えっ?」
「確かに電話がなかったらこうして会いには行かなかったけど、別に巴も僕も頼まれて
連絡して会いに来た訳じゃないよ。」
「…。」
「柊さんがいつものように巴と二人でメタボ目指してドーナツをばくばく食べながら話をし、そこから巴が僕に連絡を入れた、ただ一言「彼、今頃苦しんでるんだろうね」と無論
柊さんは一言でも電話するようには言ってない。」
「それじゃー。」
「うん!そういう事。」
「でも、どうして態々?一条君今日だって部活じゃ。」
「確かに、でもそれはそれ、これはこれ。」
「…疲れて寝たい筈なのに。」
「ううん!疲れたから美味しいラーメンも食べれたし、君と会えて色々話して気分もよくなったよ!」
「そこまでして。」
「友達が落ち込んでたら励ますのは当然でしょ?」

先程とは別に感情が高ぶる、この人いい加減な人だと思ったけど。

「おおうっ!?よせやい!もし巴が居たらまた興奮するよ。」

高ぶった感情を抑えきれず彼を強く抱きしめる。

「ありがとうっ!本当にありがとう…、僕頑張るから!」
「よしよし♪彼女の事は忘れずに忘れて、笑顔で迎えようね。」

先程までの胸の苦しみが嘘のように消えた。

「やっぱ落ち込んでちゃダメだよね、よーし、おじさん!炒飯一つ!大盛りで!」
「ひゅーー♪」

そうだ、ここはショックを受け嘆く所じゃない、彼女がお爺さんの身を案じ、やっと会えた大好きなお母さんとの幸せな生活を祝福する所だ!

若葉ちゃん、今までありがとう…そして、さようなら。

次回、39話に続く。


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