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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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友情と成長-3

「ったく、私の周りにはどれだけ転校する奴が居るってのよ。」
「不思議なものだね。」

コーヒーとドーナツをテーブルに並べ、巴ちゃんと先ほどの話をする。

「お爺さんどうだった?」
「相変わらずよ、まるで最初から何事もなかったかのように野菜売ってた。」
「お母さんは?」
「買い出しをしたり観光をしてた、夜には私たちの家に戻る。」
「あー、やっぱ居ずらいんだ。」
「うん、どうやら最初からそのつもりで有給を取ったみたいで。」
「それなりに強い思いはあったって訳ね…。」

と、納得しストローでアイスコーヒーを飲む。

「…こうするしか、ないの…お母さんの事はずっと前から思ってた今どこに居てどうしているのか、幸せに暮らしてるのか…とか。」
「……。」
「こんなチャンスもう二度とないと思う、ここで断ったらきっと後悔する、何よりお母さんが可哀想、実の娘と一緒に暮らせない何て。」
「チャンスって。」
「お爺ちゃんだって、やっぱきっかけが必要なのよ、幾ら言っても無茶するから、もし
また倒れたりしたら…、それで……そのまま。」
「若葉。」

我ながら嫌な事を考えてしまった。

「だから、私。」
「彼の事はどうするの?」
「風馬君は、確かに寂しい…でもっ!別れる訳じゃないもの、会おうと思えば。」
「アンタはそれでいいの?」
「えっ?」
「会おうと思えば会えるって簡単に言うけどさ、そんなのたまにだよ?年末年始にお盆に
しか会えない…って実家に帰省する子供か!…とにかくたまぁーにだよ、毎日会おうとしたら交通費だってバカにならないし。」
「なら電話すれば。」
「それだって遠い所からだと、それに向こうの都合もあるし大体声だけで満足?」
「…メールは。」
「アンタ話し聞いてた?メールなんてもっと条件悪いでしょ。」
「巴ちゃんは私の判断は間違ってる、やめた方がいいって言うの?」
「個人的にはね、まぁ決めるのは本人次第だし、いざ決定したら私はアンタの意見を尊重するよ。」
「だったらぁ。」
「毎日会えないのは結構辛いよ?思い出しなよ、彼との思い出を…。」
「風馬君との、思い出…。」
「確かにあたるの時はお互いの為を思ってそれが良い判断だと私も思った。」
「でも今回のは違うと?」
「…お母さんとだってその気になればいつでも会えるでしょう、彼女の住所聞いたり電話
番号やメールアドレスを聞けば、お爺さんだって馬鹿じゃないんだから何もアンタが居なくならないと無茶をやめないとは限らないでしょ?てゆーか私さっきから思ってたんだけどそれは逆効果じゃない?老体に鞭打ってまで頑張る理由、いや希望生きがいであるアンタが居なくなったら電池の抜けた機械のように生きる気力を失うんじゃない?ただでさえ
奥さんをなくして寂しいのに、アンタまで居なくなったら。」
「た、確かに。」
「まっでもアンタの気持ちも分からないでもないよ、お爺さんがアンタが今やろうとして
いる行動によって孫の思いを察して生き生きと過ごすかもしれないし、お母さんだって
やっぱ一緒に毎日居るのが一番だろうし。」
「………。」

私は、それでも…。


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