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アダルトビデオの向こう側
【熟女/人妻 官能小説】

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7.帰宅-5

「乾杯!」
 将太が叫ぶと、円形のテーブルを囲み、立ち上がった参加者は一斉にグラスを掲げた。

 テーブルの中央に大きなチョコレートケーキが乗せられている。もちろん『Simpson's Chocolate House』のアトリエでケネスが作ったものだ。
 その中心に40という数字をかたどった蝋燭が立てられている。

「おめでとー!」
 参加者は口々にそう言いながら、香代の持つグラスに自分のものを触れさせた。
「ありがとうございます、皆さん」
 すでに香代は涙ぐんでいた。
「泣かないの、母ちゃん。相変わらず涙もろいな」
 右隣に立った将太が恥ずかしそうに言ってポケットからハンカチを取り出し、母親の目を優しく拭った。

香代の左に座っているのは拓也、そしてケンジ、ミカ、海山和代。将太の右に彩友美、建蔵、ケネス、マユミ。
 円卓なので、マユミの右隣が海山和代だった。

「ねえねえ、マユミ先輩」
 海山和代がスモークサーモンを刺したフォークを持ったまま訊いた。
「なあに?」
 マユミはワイングラスを持ち上げて応えた。
「ケンジさんが高校時代つき合ってたっていう、当時すでに深い仲だった彼女って誰だったんですか?」
 その会話に気づいたケンジが、思わず立ち上がって言った。
「まだ拘ってるのか、それにっ」
「当時も今もあたしがよく知ってる人だって、ミカさんが……」

「あたしだよ」
 マユミは満面の笑みで和代に囁いた。

「え?」
 海山和代は今マユミが言った言葉の意味がとっさに理解できなかった。
「兄妹で愛し合ってたんだよ。今だから言うけどね」
 そしてマユミはワインを一口飲んだ。
「えええっ?! ま、まさか……そ、そんな」
 海山和代は思わず立ち上がっておろおろした。
「和代、おまえもそないに動揺すること、あんねんな」
 ケネスが面白そうに言って、テーブルのミートローフにフォークを伸ばした。
 海山和代は真面目な顔になって、ケンジに目を向けた。
「ケンジさん、今度詳しくお話を聞かせて下さい。論文書きます。『近親者の恋愛における心理的・遺伝的傾向について』」
「ばか! 大声出すな。まだ知らない人もいるんだからな!」
 ケンジは慌てた。
「もう時効でしょ? ケン兄」
 マユミはにこにこ笑いながらサラダのオリーブを口に放り込んだ。
「時効ですよね」
 ケンジにウィンクを投げた後、海山和代は椅子に座り直し、隣のマユミに耳打ちした。
「びっくり仰天。その深い仲のマユミ先輩本人に、あたし告白の相談をしたんですねー。いやーまいったまいった」
 そして頭を掻いた。マユミは笑いながらまたワインを口にした。

 その時、ケネスの胸ポケットのスマホが震えた。
 なんや、お楽しみ中やのに、とぶつぶつ言いながらケネスは席を立った。

「和代先生」
 拓也が言った。
「先生の病院の名前の『マール・イ・モンターニャ』ってどういう意味なんですか?」
「スペイン語で『海と山』っていう意味なんだよ、拓也君。あたしの名字」
 海山和代が指を立てて言った。
「へえ」
「どうしてわざわざスペイン語?」
 隣のミカが訊いた。
「英語にすると『シー・アンド・マウンテン』」
「ああ、下のテナントのアウトドア・ショップの屋号と同じ」ミカが手を打った。
「あっちの方があたしの開業よりちょっとだけ早かったんですよねー」
「なるほどな」
 ケンジが言った。「巷では『マルモン・クリニック』って呼ばれてるじゃないか。まるでパチンコ屋か宗教団体みたいな通称になってるぞ」
「そうなんですよー」
 海山和代は困った顔をした。


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