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アダルトビデオの向こう側
【熟女/人妻 官能小説】

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6.心の奥底-5

「何だ、拓也君って姫野君のことだったのか」ケンジがカヨコと二人でやって来た拓也の顔を見るなり大声で言った。
「お久しぶりです、ケンジさんにミカさん」
 拓也は緊張したように笑って右手を差し出した。
 その手を握りながらミカが言った。
「あたしたちのDVD、えらく評判なんだよ。バカ売れ。姫野君のカメラのお陰」
「そんなことありません。素材がいいからです。ケンジさんとミカさんの絡みは、誰が撮ろうが魅力的で素晴らしい画になることは間違いないですよ」
「謙遜全開。相変わらずだね」ケンジは笑った。

「彼女がいたんだね。いつから?」ミカがカヨコを見ながら言った。
「いつから……かな?」
 拓也は香代の横顔を見ながら頭を掻いた。
「もう長いの?」
「知り合ってからは四年ですけど、その、身体の関係になったのは二か月ほど前……」
「そう。まあとにかく、座って」
 ミカは二人を椅子に座らせた。
 ケンジは向かいの椅子に座ってうつむいているカヨコという女性を、どこかで見たことがあると感じていた。

 ケンジたちは海山和代のアイデアとやり方をその二人のクライアントに伝えた。拓也もカヨコも快諾して、二週間後実行に移すことになった。
 拓也のたっての願いで、セラピーは『マリン・ルーム』を使うことになった。

「じゃあカヨコさん、ベッドに横になって」
 海山和代が下着姿のカヨコに促した。
 カヨコは一つ深呼吸をして青いカバーの掛けられたベッドに横になった。
「一緒に横になります。いいですか? カヨコさん」下着姿のケンジがベッドの横に立っていた。
「お願いします」
 ケンジはカヨコにアイマスクを渡し、彼女がそれをつけたことを確認すると寄り添うように横になった。
 海山和代が低い声で静かに、ゆっくりと口を開き始めた。
「カヨコさん、あなたは今、心から望む人と一緒にベッドにいます」
 ケンジがカヨコの頬を優しく撫でた。
「この人には自分を全てさらけ出すことができます。安心して身を任せて下さい。大丈夫、安心して下さい」

 この『マリン・ルーム』には穏やかな波の満ち干の音が絶え間なく流れている。

 海山和代は声を次第に落としていって、最後に「この人は貴女が今、一番心を開ける人です」と抑揚のないトーンで静かに言った。
 カヨコの身体からふっと力が抜けたことを確認したケンジは、そっとその唇に自分のそれをあてがい、小さくこすり合わせながら吸った。カヨコは甘い声を上げ始めた。
 それからケンジの手や唇が彼女の身体をくまなく這わせられる度に、カヨコは次第に大きく身をよじらせ喘ぎ始めた。

 マジックミラー越しにその様子を見聞きしているのはミカと拓也だった。すぐに海山和代がそこにやってきて、二人と同じようにヘッドセットを装着した。

 ケンジの唇がカヨコの乳首を捉えた時、彼女の身体は大きく反応した。
 ビクン、と身体を震わせたカヨコは、自分の乳首を咥えたケンジの身体を反射的にぎゅっと抱きしめた。

「動いた……そろそろ出てきそう……キーワードが」海山和代がつぶやいて、耳に当てたレシーバーを押さえた。

 カヨコはケンジの頭を抱えて自分の乳房に押しつけ、喘ぎながらひと言叫んだ。

「将太!」

「来たっ!」ミカが言った。
「出てきましたね」海山和代が目を輝かせた。
「あれか……」
「それにかなり濡れてますね、カヨコさん」
「ほんとだ、シーツまで濡れてる。今までずっとあの人に見られなかった現象です」拓也は昂奮したように言った。

 ケンジはカヨコと大きく顔を交差させながらキスを交わし始め、同時にコンドームを装着した。
「来て、来て!」カヨコは息を荒くしながら狂ったように懇願した。
 ケンジはゆっくりとペニスを彼女の谷間に挿入し始めた。あふれ出るほどの愛液で潤ったカヨコの中に、ケンジのペニスはぬるりと深く入り込んだ。

 カヨコは自ら腰を動かし始めた。それに合わせてケンジも身体を揺すり始めた。
「ああ、イく、イっちゃう。もうダメ、あたし、あたしっ!」
 カヨコは間もなく全身を大きく硬直させてぶるぶると痙攣し始めた。その時何度も繰り返しペニスを強く締め付けられたケンジは思わず歯を食いしばり仰け反った。
 焦ったケンジは叫んだ。
「ああっ! やばい! イく、出るっ!」そして次の瞬間激しく射精を始めた。
 ぐううーっ!

 次第に力が抜けていくカヨコの身体を抱きしめたまま、ケンジは自分でコントロールできずに射精してしまったことをひどく気にしていた。図らずもクライアントの女性に逆にイかされたのは初めてだったからだ。

 大きく荒い息を繰り返しながらケンジはカヨコから身を離した。

 モニタールームでミカは拓也に気の毒そうな顔を向けた。
 海山和代がゆっくりヘッドセットを外した。
「拓也君には申し訳ないけど、カヨコさんの心の一番奥にいる人物は『ショウタ』という人らしいわね」
「そうか、やっぱりそうか!」
 拓也は昂奮して立ち上がり、そう叫ぶと、ミカと海山和代を交互に見て嬉しそうな顔をした。

 ミカと海山和代は面食らって言葉を失っていた。

「ありがとうございます。僕の思ってた通りです」




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