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アダルトビデオの向こう側
【熟女/人妻 官能小説】

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2.初仕事-1

 その三日後に香代に生理が来た。リカに言われていた通り、その日から経口避妊薬を飲み始めた。撮影見学の時に黒田社長からもらったタブレットは三シート、つまり三か月分だった。
「毎日決まった時間に飲むのよ」
 夕食の時リカはそう言って、自分の薬を口に放り込み、ビールで喉に流し込んだ。

「私、再来週初仕事なの」
 香代が箸を止めて、向かいに座ったリカに言った。
「そう、いよいよね。台本ももらったの?」
 香代は小さくうなずいた。
「どんな話? っていうかシチュエーション?」
「人妻が訪ねてきた水道工事の男に、その、犯されるっていう話なの」
 ふふんと鼻を鳴らしてリカが言った。
「社長らしいわね。あの人変態だから。どうせその工事の男って社長本人なんでしょ?」
 香代は黙って首を縦に振った。
「恒例なのよ。新人女優の最初の作品は必ず自分が相手役になるの」
「そう……なの」
「後でさ、あたいがアドバイスしてあげる。演技の仕方とか、社長のあしらい方とか」
「そ、そう。助かる」
 香代は箸を持ち直して、ごはんを口に入れた。

「香代さんの作る料理、おいしいわね」
「そう?」
「いやあ、久しぶりに食べたわ。こんな家庭的な料理、煮魚なんて長いこと口にしてなかったもん」
 リカは鼻歌を歌いながらカレイの煮物を箸でつついた。
「カレイは年中出回っててそこそこ安いから。でも今から鯵とか鰯とかが美味しくなるわ」
 リカは箸を止めて目を上げた。「魚にも時期みたいなのがあるの?」
 香代はうなずいて微笑んだ。「旬のものは野菜でも魚でも美味しくて安いの。食べない手はないでしょ?」
「そうかー、そうなんだー」
 リカは感心したようにこくこくうなずいてまたカレイの身をほぐし始めた。

 香代が箸を休めて訊いた。
「こないだの撮影で来てた人たちも、『Pinky Madam』の社員なの?」
「ううん。メーカーの人よ。制作会社『クリエイト・えろす』の社員。でも拓也はフリー。あの子腕がいいから幾つかのメーカーがいつも使ってる。けっこう忙しいみたい」
「そうなの」
「うちの黒田はあのメーカーに無理矢理首突っ込んで、自分で台本書いたり監督したりしてるんだよ。厚かましいったらありゃしない」
 香代はひじきの煮物に伸ばしかけた箸を止めて目を上げた。「拓也さんて、幾つなの? 歳」
「あたいの一つ下。28」そして目だけを香代に向けて続けた。「なに? 拓也が気になるの?」
 香代は少したじろいだように目をしばたたかせた。「いえ、そんなんじゃなくて、彼が私の今度の作品を撮ってくれるって言うから……」
「そうなの? 良かったじゃない」
 リカはにこにこ笑いながらテーブルの缶ビールを持ち上げた。


 黒田の事務所に呼び出された拓也は、その台本を読み終えると顔を上げ、セカンドカメラを担当する『クリエイト・えろす』の新米カメラマンに小声で言った。
「無理だよな、初仕事の女優にこんな濃い話」
「香代さんって、今度入ってきた新人なんでしょ?」
「そう。いくらなんでも、最初の作品がレイプ物なんて……」
 拓也は小さく舌打ちをしてちらりとデスクの黒田に目をやった。
「どうだ、拓也、激しくて面白そうだろ?」
 黒田が椅子の背もたれにふんぞり返って大声で言った。
「ちょっとやり過ぎじゃないですか? 社長」
「どこがだ。AVって言ったらこんなの普通じゃないか」
「でも主役を務める香代さんにとっては初めての作品なんでしょう?」
「黙れ。俺の台本にけちをつけるな!」
 黒田は額に青筋を立てて恫喝した。そしてすぐに片頬に品のない笑みを浮かべて言った。
「いつものようにいやらしく撮るんだぞ」
 黒田は上機嫌で高笑いをしながら、タバコの煙を鼻から吹き出した。


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