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愛すべき彼女と肉塊
【学園物 官能小説】

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Runa:「虚心坦壊(懐)」-1

勇樹と、偽物の性器を使っての性行為。

私は未だに処女だけど、これは少しだけ興味を持ってしまった。

心と体が繋がる瞬間って、どんなものだろうって。

「どんなこと考えてオナニーしてる?」

勇樹の言葉が頭の中でこだましている。

どんなこと。

私にとって、こういういやらしいことは…イケナイこと。

両親にバレたら、怒られるし軽蔑されちゃう。

性的な行為というものは、人間誰しもが通る道なのだろうけど…。

私たちの年齢では、どうしても好ましい行動とは言えない。

でも、これを止めることなんてできない。

人の心と同じ気がする…。誰かに何かを思う事、そこに人の「心」が存在する。

いやらしくて、性的で、エッチで、淫靡なことがあるからこそ、私も性的な気分になったりする。

誰かに見られたら怒られちゃう、でもそうやって隠れてするのが、私の背徳感を刺激して、更に快楽の虜になってしまう自分がいる。

今までは漠然と、いやらしいことをイメージしながら自慰行為に耽っていたけど。

あの日、あの勇樹に私が公園で自慰行為をしているのを見られてから、私は更なる快楽に溺れていくのを今この瞬間自覚させられる。

今までは、逞しい体付きの男の人にあんなことされて…とか、こういうシチュエーションで、みたいな私の妄想には霧というか暈しが入っていた。

でも、勇樹と出会ってからはその霧が晴れていって、その先に勇樹がいる。

考えたくないと思っていても勇樹が私の妄想の先に立ちはだかっていて…私の体を好き放題にして無邪気な笑顔を浮かべるところを避けては通れなくなっていた。

どんなに回り道をしても、どんなに迂回しようとしても、まるで磁石に引き寄せられるみたいに、私は…私の体は妄想の中でも現実でも、勇樹に体を触られていて。

「気持ち良かったら、抜け出せなくなるでしょ…?こういうことってさ。」

うん、抜け出せなくなってるのかな…。私。

オナニーはほとんど毎日してるの…。

いつも、勇樹のこと考えながらしてるもん…。

でもこんなこと口に出せない。

自己防衛本能が働いて、それを口に出せない。

自分は、勇樹にエッチなことをされるのにハマってしまっていて、どう頑張ってもそこから抜け出せずにいることを。

そういう気分になってしまった時、私はいつも勇樹に体を触られているように体が疼いてしまう。

指の感覚もリアルに体に残っていて、あの笑顔で私の胸を持ち上げているところとかを想像して…体に教え込まれてしまっている。

勇樹の行為と同じように、私の中の感覚もエスカレートしていく一方。

「瑠奈ちゃん…。俺分かっちゃったんだ。」

勇樹は、そう言って私の胸の一番敏感なところを押しつぶすように触ってくる。

本当に最悪。服を着ていても、私の体は勇樹に見透かされている…。

どこにいても、勇樹は私のリアルの体を再現できてしまう。

体は散々見せてきてしまったけど、せめて心だけは覗かれたくなくて。

怖い。勇樹の体無しじゃ生きていけないかもしれないと気付くこと、私がとてもいやらしいことを考えている人間だと、気付きたくない。

「やめて!!!離して!!!」

勇樹に心を覗かれているみたいで、それが急に怖くなって、勇樹を突き放すように言ってしまった。

本当の私は、勇樹に女として体を触られてこの上ない悦びを感じているのに。

これ以上…、女の体の悦びを知ってしまったら。

私は人間の尊厳をも失ってしまうんじゃないかって。

「壊れちゃえよ。」

私は、勇樹に肉の塊として扱われてしまうことを恐れていた。

瑠奈という私は消えて、ただの肉の塊と化すことが怖い。

固形のものは、壊れても綺麗に形は戻るけれど、液状のものはどんどん広がって、蒸発して、染みて、流されていってしまう。

そんなことを勇樹の部屋に入ってから、ずっと考えていた。

勇樹が言う我儘。

私が勇樹の性欲に呑まれて、何度も何度も勇樹のことを考えて、私の女の部分を濡らして、勇樹に縋り続けて欲しいという彼の最低な願望。

最低すぎるけど、もうそこまで私が浸かってしまっている。

私の体に鮮明に性欲について刻みつけたくせに。

勇樹は陽ちゃんの元へと戻って行って、私はそれからは自分でこの体の疼きをどうにかしなきゃいけない。

勇樹の陽ちゃんへの意志は揺るがない。私がどんなに壊れても、勇樹だけは自分の信念を曲げない。

自分勝手過ぎて最低。ただの変態で、馬鹿で、私の体のことしか考えていないクズ人間。

でも…きっと勇樹自身もそう思ってる。

「俺のことも壊して」

その勇樹の言葉の意味を私は、理解してしまっていた。

確固たる陽ちゃんへの想い。

私との関係を終わらせたくないという気持ちの反面、陽ちゃんを自分の意思で裏切ることのできない優しい人。

――――――――

陽ちゃんごめんなさい。私は悪い子になるよ。

「ずるぃ…。」

私を抱きしめる勇樹の手の力が弱っていく。

勇樹の体は温かい。目頭が熱くなっているのが、まるで肌で感じ取れるように熱を帯びている。

陽ちゃん…陽ちゃんが戻ってくるまで、私は勇樹のことを試します。

この人が、最愛の陽ちゃんの元へ最終的にちゃんと帰っていくのか、壊れちゃうのか試します。ごめんなさい。

なんとなくだけど、陽ちゃんはきっと私のこの言葉をむしろ「いいよ」って受け入れてくれる気がする。

怒ったり、私から取り上げたりせずに、最後まで勇樹がどうなるのかをきっと見届けてくれるんじゃないかって、心のどこかで思ってしまった。




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