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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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新しい恋人-2

もう何度か目にしてる水槽に泳ぐお魚さん達に、うっすら暗い室内、休日だけど特にチラシに載るような大きなイベントもない事もあって私達以外に客は少ない。

「段差があるから足元に気を付けて。」
「あっうん!」

少し背伸びするように勇ましく手を繋ぎ私に怪我がないようリードする彼。

「暗いけどちゃんと前を向いて、ンゴッ!」
「風馬君!?」

そう言いつつ自分は前を見ず、目の前にあった柱に顔面直撃して…。それを心配そうに私がまじまじと見つめたらバツ悪そうに顔を赤く染め首を横に向ける。

ふふ、可愛いなぁー♪

佐伯君と別れて約一週間が経ち、風馬君と付き合い…本来なら佐伯君に対しての思い残しや風馬君への未だ残るであろう警戒心がある筈なのに不思議とそんな心配はなく風馬君と付き合うのは自然に見えて仕方がない。

「うわぁおっきな魚!ほら見てよっ!」

いつの間にか立ち直りすぐさま子供のようにはしゃぐ彼。

でも、胸の奥底がモヤモヤする、彼と付き合うべきではない、本命は佐伯君…青森で彼が泣いている、貴方は佐伯君と居るべきだ…、こんなのはまやかしだ、もう一人の私がそう
訴えている気がして…。

水槽に両手を付け、瞳をキラキラさせる風馬君の後ろ姿にじっと視線を置き、私はこの場を逃げるように別のコーナーへ彼を置いて立ち去る。

「そうだ、折角だから一緒に写真撮って…。」

明るく振り向くも暗く自分から去っていく私の背中を目にし。

「………。」


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