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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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ターゲット乗車に至るまで-2

それは陽子の親友であり、星司の最愛の妻でもある悠子の死が切欠だった。全てを棄てて悠子を選んだ星司だったが、その最愛の妻の死によって、星司は心を閉ざしてしまった。

各務家の者達が危惧していた星司の精神の崩壊には至らなかったが、それでも悠子の死は、日常生活が儘ならない状態になるまで星司を追い込んでいた。

そんな弟を憂いた陽子が、悠子を死に至らしめた女に対する復讐心を煽ることによって、廃人状態だった星司の心を前に向かせることが叶った。

しかし、その復讐の相手である幸田美咲は、騒動から逃げるように海外留学で日本を離れてしまい、その結果、星司は再び心を閉ざしがちになった。

幸田美咲が帰国するまで、心を開かす術として、陽子は同じ被害で苦しむ者達の復讐を星司に手助けをさせることを思いついた。こうして【痴漢専用車両】が誕生した。

案の定、同じ苦しみを持つ者の復讐の手助けは、自身の復讐の疑似体験となり、星司は顕著に回復に向かっていった。

しかし、その一方で、星司の【他者の意識を読める】各務家の能力が諸刃の剣となり、ターゲットの悪意の意識をまともに受けることで、星司の精神に一時的なダメージを与えてしまうことにもなってしまった。

初めて【痴漢専用車両】を運行した時に、断罪直後の星司が意識を失った時の恐怖を、陽子は忘れることができなかった。全く目覚めない星司を前にして、陽子は【痴漢専用車両】を運行したことを後悔し続けていた。しかし、3日目の朝に星司は何事もなかったように目覚めた。

陽子は目覚めた星司に、意識を失って以降の状況を説明し、今後の【痴漢専用車両】の運行中止を促した。

『危険すぎるのよ!』

しかし、その陽子の説得を他所に、星司は【痴漢専用車両】の継続を望んだ。

それならばと、星司は直接女を犯さないことを頼んだが、星司は自身の脆弱な精神を鍛えるためと、それも拒絶した。悩んだ結果、陽子は躊躇しながらも【痴漢専用車両】の運行を継続することにした。

その後も断罪直後の星司は意識を失い、そのまま2、3日目覚めないことが常だった。毎回のように、このまま星司が目覚めないことを危惧する陽子は、この車両の運行の度には緊張を強いられていた。

このように、前回までは陽子に会話をする余裕などなく、また、周囲もそんな陽子に気兼ねして、話しかけることもできなかった。しかし優子は違った。そんなことを知ってか知らずか優子はマイペースのまま、陽子に接していったのだ。

優子に話しかけられた陽子は、緊張が弛んだことを感じた。緊張が弛んだことで、その自身の緊張が星司に悪影響を及ぼすことにもなっていたと改めて気付いた陽子は、優子との会話を楽しむことにした。

(うふ、本当に不思議な子ね)

陽子は心の中で笑った。

「でも貸切りって…」

どれくらい費用がかかるんですか?と、優子は聞こうとしたが、陽子にさもしい女と思われるのが癪なので、話の途中で言葉を止めた。しかし、優子の性格を見抜いた陽子が話を繋げた。

「どうしたの?貸切りの費用でも気になるの?」

「そ、そんなこと…」

「気になるんでしょ」

「す、少しだけですよ」

誤魔化そうとしたが、ここは好奇心が上回って素直に頷いた。

「うふふ、わかりやすい子ね。鉄道会社によって違うけど、通常は【1人の運賃】×【定員数】で使わせてもらってるの。そんなに高くはないわよ」

(1両にどれくらい入るんだろ?仮に1両の定員が100人として3両で300人。それに運賃を掛けると…)

優子は頭の中で計算した。出てきた答えが予想よりも安かったため、反対に驚いてしまった。何せ、但馬親子を断罪した時や、自身が誘拐された時には、慰謝料として億単位の数字が飛び交っていたからだ。



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