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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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-3

「青森に引っ越してからも彼、結構苦労しているみたいね。」
「!……どうしてそれを。」

どんな嫌味を言われるかと思いきやまさかの一言。

「知りたい?ふふどうしょうかしら。」
「……。」

人を小馬鹿にするように嘲笑う、高1終わりに先生が案の定知らせたので彼が青森へ行った事はクラス全員が知って居る、ただその理由やその先について知る者は数少ない。

「先生から無理やり聞いたんですか?それとも佐伯君を影からつきまとって知ったんですかぁ?…若しくは風馬君から聞いて。」
「あんな男、もうこりごりよ先生から聞いても彼にそんなストーカーもしてないわ。」
「なら一体。」
「…ふふ、なら答えは一つしかないじゃない。」
「え、まさか。」

ワザと私に答えたくない、いや考えたくもない事をさせる。

「彼の方から電話が来たの、もう行き成りよ。」

そんな、嘘に決まってる。

「嘘だ…って顔ね、でも本当よ、そりゃーアンタみたいに愛のこもった言い方はしてくれなかった、でも彼は私との話に盛り上がってくれた。」
「そんな訳。」
「私だって一度は彼に愛された女、私も彼が心配で一杯彼の話に耳を傾けてあげたわ、もう女神のように優しくね。」
「何がっ!彼に振り向いて欲しいだけでしょ!」
「あらあらぁー、随分強気じゃなぁーい、良いわねその敵意に満ちた瞳、嫌いじゃないわねぇー。」

どんどん悪女っぽくふてぶてしくなる先輩。

「それ半分は正解ね、振り向いても欲しいし、でも、何より彼が心配。」

彼を心配する彼女の顔に邪な気持ちはないのだろうけど…。

「貴女が何話したって彼は貴女なんかには決して振り向いたり何てしないわ。」
「ふっ言ってくれるじゃない。」
「彼とはついこの前通話したんです!とっても楽しく。」
「へぇ。」
「三人で苺狩りに行ったりして、とっても仲良く過ごしてるわ。」
「苺狩りって、この時期はやってないわよ。」
「なっ!?」

嘘だっ!でも確かにこの時期に聞いた事がない。

「この前、彼とあったら…彼顔に殴られた跡があったわ。」
「!う、嘘だよ…何言って。」

デタラメだっ!彼は青森に居るんだ、そもそも会えるわけが。

「私の姉がねぇー、丁度青森に居るんだ、だからそのついでに…。」
「えっ…。」

次々と衝撃的な事実が私を容赦なく突き刺す、デタラメだと信じたい、けど殴られる事に
心当たりもあるし、先輩にお姉さんが居る事は部活で何となく聞いたし。

「あらぁー、彼、その事アンタになぁーんにも言わなかった訳。」
「それは…。」

思い浮かぶのは彼との楽しい昨夜の通話、でも彼はそんな事一言も…

そこから弱っている彼にここぞ言わんばかりに優しく寄って…、すっかり戦意喪失し地面に力なく視線を落とす。

「そんな大事な事を言ってもらえないで嘘と隠し事でずっと電話で話してる何て。」
「……。」
「その点に比べて私はそんな大事な事を打ち明けて貰って、きっとこのまま行けば彼は私に心を許すでしょうね、そんな隠し事されてる人何かに比べたら。」
「そんな、ううっ。」
「どうしたの?さっきまでの強気な態度は何処に行ったの訳?何か言ってご覧なさいよ!
ほらっほらほらほらぁーごふっ!?」

弱気な私を責める先輩に背後から強烈にボールがぶつかってくる。

「あんまりうちの若葉を虐めないで下さるかしら先輩?」
「と、巴ちゃん!」

外でランニングをする事にでもなったのだろうか?ボールを地面に打ち、先輩を睨み、先輩も後頭部を押え、彼女を睨む。

「部活放り出して、盗み聞き?相変わらず良い性格してるわねっ!」
「大事な人だからこそ嘘や隠し事をするんじゃない?もしそんな事実を真っすぐに言ったらこの子…どう思う?、心配して自分の判断を後悔しかねないでしょ!」
「そ、それは…。」
「あたるもきっとその時は落ち込んでて、それでたまたま出会ったアンタにただ何となく
愚痴を吐いただけなんじゃない?」
「…はっ!それでも私に打ち明けてくれた事は事実!…、いずれか彼を私に振り向かせてやるんだからぁっ!」

般若のように険しい顔がよりいっそ酷くなり、そう捨て台詞を吐き×悪そうにその場を立ち尽くす。

「巴ちゃん。」
「お怪我はありませんか、姫君?」

一息入れ、穏やかな表情でおちゃらける彼女。

「ありがとう。」
「…言ったでしょう私は何時でもアンタの味方だって。」
「巴、ちゃん。」
「とーもえぇー、練習行っくよぉー。」
「あっ、うーん、今行くー!」

練習の合間を遮ってまで助けに来てくれたのか。

「じゃ本当にこれで、…あっ、後でまたいつもの店行こっ!」
「!…わ、私おごりますねっ!」

いーよいーよっ、と言う声が遠くから聞こえる。

佐伯、君…。


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