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父の温もり
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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父の温もり(楽屋話2)-2

 修平が目を輝かせて言った。「そうそう、俺、ケンジさんに直接訊きたい。真雪とのエッチがどんなだったか」
 ケンジはばつが悪そうに何度か瞬きをした。「も、もう勘弁してくれよ……」
「何でも龍と真雪に頼まれたらしいっすね」
「そうなんだよ。まったく龍のやつ、真雪を気持ちよくさせて、なおかつ心の奥に残った拒絶感を取り除いてくれ、なんて無茶な難題ふっかけてきやがって」
「真雪の年上の男への拒絶感を取り除くため、でしたよね?」夏輝が言った。「真雪、二十歳の時の事件の後遺症がまだ残ってたんですね」
「でも見事に真雪を復活させたらしいじゃないっすか」修平がにこにこしながら言った。
 ケンジは小さな声で言った。「そ、そうだね。結果的にね」

「でも、その時、ミカさんも龍くんと繋がったんでしょ?」今度は夏輝が色めき立って身を乗り出し、ミカに目を向けた。「どうでしたか? 息子とエッチして」
「あたしの場合はケンジそっくりの龍に抱かれて、ケンジの若い頃を思い出してさ、途中から龍を息子だって意識してなかったよ」
「おお、なるほど」修平が感心したように言った。

「真雪ちゃんの身体、夏輝ちゃんの抱き心地とは違ってた?」神父尊がケンジに顔を向けた。
 ケンジは顎に手を当ててしばらく考えた。
「真雪は……そう、なんか絡みついてくるような感じ、ですかね」
「絡みつく?」修平がカップから口を離した。
「喩えるなら、夏輝ちゃんは爽やか系のヨーグルト、真雪は濃厚ミルクのプリン、って感じですか」
「なるほど。わかる気がすんな」修平が言った。「じゃあ、因みにミカさんは?」
「コーラフロートってとこかな」
「『コーラフロート』?」ミカが怪訝な顔でケンジを見た。
「甘いアイスクリームに炭酸の弾けるような刺激」
「おもしろい!」夏輝が言った。

「ほんとにおもしろいね。それぞれで」神父尊が言いながら、飲み干したケンジのカップにコーヒーを注ぎ足した。
「ありがとうございます」ケンジが言って、小さく頭を下げた。
 神父尊が修平に目を向けた。「じゃあ、その刺激的で甘い味のミカさんを、今度は修平くんが抱いてあげなきゃね」

「えっ?!」夏輝の隣に座っていた修平がみるみる真っ赤になった。「な、なんでいきなりそういう話の展開になるんすか?」
「だって、ケンジ君と夏輝ちゃんとの話を書いたからには、君とミカさんとのストーリーも出さなきゃ読者が納得しないでしょ」
「いいねー、修平、楽しみだな」ミカが言いながら身を乗り出して修平の肩を乱暴にたたいた。
「そ、そっ、そんな、い、いいんすか? 俺なんかと……」
「あたしを抱きたかったんだろ? 前から」
「そ、そりゃそうですけど……」修平はもじもじしながらうつむいた。
 夏輝が言った。「ミカさんは、ケンジさんにいつもいろんなポジションやテクニックで愛されてるんだ。修平もちゃんと勉強しとかないと、満足してもらえないよ」
「だ、だよな」修平が不安げに言った。「ケ、ケンジさん、今度教えてもらってもいいっすか?」
 ケンジは笑いながら言った。「心配ないよ。君は君のやり方で問題ないって」
「そ、そうはいかないっすよ。積年のあこがれのミ、ミカさんを抱く以上は、俺だって真剣勝負でいかなきゃ」
「あたしが伝授してやるよ」夏輝が言った。「ケンジさんからやってもらったこと、今夜帰ったら復習するから」
「よしっ! わかった、夏輝。今夜は眠らせねえぞ」
 一同は大笑いした。

「それにしても、読者の方からのリクエスト、ずいぶん多岐に亘ってますね」
「そうなんだよ。ま、でも今回のシチュエーションについては、いつかくるとは思ってたけどね。ケンジくんが次世代の女のコを抱くっていうリクエスト」
「次世代って……」
「ケンジくんと真雪ちゃんの情事『夫婦交換タイム』を描いて、かなりの読者からの反応があってね」
「へえ」
「だから調子に乗って、」神父尊もソファに座ってテーブルにあったチョコレートに手を伸ばしながら言った。「ケンジくんの次世代の女のコとの情事話はこれだけで終わらせないよ」
「終わらない?」
「そ」
「こんどは誰を抱くんです? ケンジは」ミカがわくわくしながら言った。
「今は内緒。別の話で公開だ。現在執筆中」
「次世代っつったら、」修平が夏輝と顔を見合わせながら言った。「俺たちと同年代ってことだよな……」
「となると……残る相手はただ一人……」
「ま、まさか……」ケンジが青ざめて言った。
「そうだよ。だってケンジ君、君は『Chocolate Time』のメインキャラ。最も紳士的でセックスアピールむんむんの主人公じゃないか。君がいろんな女性と愛し合うことが、言ってみればこのシリーズの最大の特徴なんだからね」
「ええええーっ!」ケンジがうろたえて身体を硬直させた拍子に、彼が持っていたカップからコーヒーがちゃぷんとこぼれた。

――the End

2016,4,25

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