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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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立ち込める暗雲-1

「では11時に到着、11時5分に点呼を取ります!」

チョークで黒板を軽く叩き、教室中に自分の張った声を響かせる。

「最近、柊さん積極的よね。」
「あぁ、前まではあまり目立たない感じだったのに。」

佐伯君がこの春転校し、無事お兄さんの居る青森へ引っ越し、もうこの教室には彼の姿は何処にもない、とはいえ高2になっても巴ちゃん一条君、それに風馬君もクラスが変わる事なく一緒になれたのが救い。

彼は、この札幌から離れる最後の最後まで私が孤独で寂しい思いをしないか心配してくれたようで、けどそんな心配は不要、だって私は巴ちゃん一条君、そして佐伯君から一杯勇気をもらったから、今まで様々な辛い経験や嬉しい事もあって私は一回り成長したようだ

それから私はクラスの子がボソボソ言うように前より大きく積極的になった、授業でも手をよくあげ、休み時間にも色んな子に話しかけ、この5月に行われる遠足でも議長を買って出て。

そんな私を見て巴ちゃんもまるで我が子を見るように滝のように涙を出し、感激し、一条君はニコニコとそんな私を見て「中々良い考えだよ…」的な敏腕プロデューサーのように
コクコクと首を縦に振り。

でもそれは彼が居ない寂しさを紛らわすような所があるのも否定出来ない。


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