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超合体★アクメロボ ガングリオン
【SF 官能小説】

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引き裂かれた友情!! 女体研究所を破壊せよ!!-6

遥は莉奈と交わした会話を頭の中で反芻していた。

そして、翌日。
遥からのメッセージを受け取った早川莉奈は、横浜の京浜工業地帯へと向かう急行列車の中にいた。
隣に座っているのはアシスタントの鈴ヶ森明日香だ。
人もまばらな車内でヒラヒラと揺れる中吊り広告は、全部ステッドラーの出した広告で埋め尽くされていた。

『進撃の総統にして全宇宙のアイドル、ルドルフ・ステッドラー!! 360度全方位立体スクリーンによる初の武道館ロック・コンサート開催!!』
『ルドルフ出版の新刊!! 短編小説集「マントに抱かれて」、エッセイ集「我が放送」、ビジネス書「超一流の総統になれる本」、絶賛発売中!!』
『素晴らしすぎる劇団・ルドルフ第一回公演!! ロックの先を行くナナク・ミュージカル「春の日のステッドラー」!!』

その広告を見つめる莉奈の表情は厳しいものだった。

(…今に見てなさいよ!! きっとアンタの化けの皮を剥いでみせる!!)

明日香「どうしたんですか? 急に押し黙っちゃって…」

無邪気な表情で明日香が尋ねた。
まだ大学生の彼女は遥や莉奈の後輩である。
ジャーナリスト志望で、ろくにアシスタント料も払えないのに面白がって莉奈の仕事をよく手伝ってくれる。

莉奈「今夜の仕事はマジでヤバイわよ。やめるなら今のうちよ?」
明日香「何言ってるんですか、ここまでで来て引き返せるわけありませんよ。莉奈さんが世紀の大スクープをとったら、貯まってるアシスト料のまとめ払いとたっぷりご馳走してもらいますから」
莉奈「そう、ありがと…。ごめんね」

明日香の言葉を聞き、莉奈はようやく微笑んだ。

莉奈「…ようやく着いたわね」

莉奈と明日香が降り立ったのは、夕闇の迫る京浜工業地帯の一画。
E−1星侵略軍の攻撃で破壊され、半ば廃墟と化した工場や倉庫が立ち並ぶ。
爆音を上げて何台もの大型トラックが走ってきた。
ドドドド…!!

明日香「先輩、向こうから車が!」
莉奈「はっ! 急いで隠れるのよ!!」

朽ち果てた給水タンクの陰に隠れてやり過ごす2人。
トラックはこっそり産業廃棄物でも捨てに来たのだろうか? いや、そうではあるまい。
各地から女性を拉致した昆虫メカは海上へと飛び去ったかのように見えて、実はここに女性を集めているのだ。

莉奈「あのトラックの行き先をつけるのよ」
明日香「はいっ!」

トラックの後を追いかけて走り出す2人。

明日香「はぁ……はぁ……」

パシャッ。パシャッ。
明日香は廃工場に入っていくトラックを撮影する。
隣りにいる莉奈にもはっきりと聞き取れるほど息が荒い。大スクープを前にいささか興奮しているようだ。
その脇では、莉奈がいよいよ潜入の準備を始めていた。

莉奈「いい? 3時間経っても戻らなかったら、必ず警察に通報するのよ。私、念のため超小型GPS発信機をカプセルに入れて飲んであるの。明日香の携帯から追跡できるわ」
明日香「…了解です」

莉奈は途中で靴ヒモが解けないように靴をガムテープでぐるぐる巻きにした。
手に持つ小型ビデオカメラはリアルタイムで動画をネット中継出来るようになっている。
そしてビデオカメラ用のバッテリー、水、携帯食料、救急キットなどが入ったデイバッグを肩に背負う。

莉奈「じゃ、行ってくるから。後はお願いね」

心配そうに見つめる明日香をよそに、莉奈は廃工場へと歩いていく。

(先輩…気をつけて。必ず…。必ず無事で戻って来てくださいね!!)

明日香は祈るような気持ちで莉奈の後ろ姿を見送った。

アイキャッチ「ガングリ…オ"オ"オ"ォォ――――ン!!!」

CM1『ズビィ〜ン!! ズビィ〜ン!!(ギターの音) 全宇宙を統べる、偉大すぎる総統ステッドラー、遂に武道館に降臨!! 360度全方位立体映像と超次元音響システムで見せる圧巻のパフォーマンス!! 興奮と感動を呼ぶ、究極のド迫力ライブを目撃せよ!! 君は、総統の熱い涙を見る…。チケットのお問い合わせはルドルフ音楽事務所、×××−△△△△−○○○○まで!!』
CM2『ルドルフ書店の新刊!! ステッドラー全集第5回配本は今日発売されます!! 第46巻随筆集、第47巻対談集、第48巻詩歌贈言、第49巻小説集!! 偉大すぎる総統の足元に跪く臣下たちよ、全能の神の御言葉に打ち震えよ!!』
CM3『ザック、ザック、ザック…。(行進する憲兵隊をバックに)♪戸締り用心、火の用心!! 戸締り用心、火の用心!! 明るい子供は御国の宝〜!! 立派に厳しく育てましょう!!』
子供『うわ〜い!! 僕も大きくなったらステッドラー憲兵隊に入るんだ!!』
CM3『…この番組は、ステッドラー憲兵隊の提供でお送りします』

アイキャッチ「ガングリ…」
ガングリ・ゴリラ「ウッホ、ウホウホ、ウッホッホ〜!!!」

明日香「あと15分で3時間よね…。」

長い夏の陽もすっかり暮れて、既に辺りは闇に包まれている。
廃ビルの陰に座り込み、明日香は腕時計を見て呟いた。
念のため携帯で莉奈の居場所を確認しようとしたが、現在位置が表示されない。

明日香「あれ? おかしいな…。先輩に教わったパスワード入れたのに…」

一体どうしたことだろう?
明日香の中で不安な気持ちがどんどん広がっていく。
急いで携帯で110番にかけようとした、その時である。
何処からか、かすかに子供の泣き声が聞こえる。

謎の声「しく…しく…」
明日香「誰? …そこにいるのは?」

明日香は身を屈めて声のする方に歩いて行った。
懐中電灯を点けるわけにはいかないので、闇の中で目を凝らしながらの手探りである。


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