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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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今は、かけがえのない一時を-5

「だ、だって、ほら、手島さんって軽いから、どうせノリで陽子さんを襲ったんでしょ。だから責任は手島さんにあるってことで、陽子さんは気にしなくていいんじゃないですか。頭上げてくださいよぉ」

軽い手島には有りがちだとも思えたから、陽子がここまで気に病むことはないと思った優子は困ってしまった。

「あたしもあの軽いノリで誘われたら、『まあ、おまんこくらい、いいか〜』って感じで、ノリですると思いますし〜」

しかし、優子のその気遣いの言葉が、陽子には引っ掛かった。

「軽くないよ…」

「えっ?」

陽子が小さくつぶやいた言葉を、聞き間違いかと思った優子は戸惑った。

「雄ちゃんはね、直ぐに女を誘うほど軽い子じゃないの」

顔を上げた陽子が、真剣な眼差しを優子に向けた。普段、雄一の軽いノリに対して手厳しいい姿勢と、今の陽子の違いに優子は驚いた。

昨日のことだった。子供の頃からの雄一との係わりを思い返した陽子が、やり切れなさの余りに雄一に抱いて欲しいと頼んだ。雄一は直前まで陽子の誘いを躊躇していたが、感情が昂り、泣きながら抱きつく陽子の体が、小刻みに震えているのを感じた雄一は、陽子の体を優しく抱き返した。そんな優しい雄一が、このまま優子に誤解されたままでは、堪らないと陽子は思った。

「雄ちゃん…、手島くんはね、本当は真っ直ぐな性格なの」

「まさか」

そう言われても、普段の手島の言動からは、『真っ直ぐな手島さん』の想像がつかなかった。

「あの軽さはね。自分の心を誤魔化そうとしてるからなの。心に蓋をした反動で、あんな風になったの…。あの日から…」

「あの日…、あの日って、まさか!」

陽子の言葉に優子は目を見開いた。陽子が少し口にした言葉だけで、優子はその意味を理解した。

今までは、少し気が効くが、基本は軽い性格の各務家の秘書だと定義付けていたが、今の陽子の言葉で、雄一は陽子と星司と同じ辛さを味わっていたことを知った。一つがわかれば、優子は全てを理解することができた。自身の誘拐からの顛末を思い返すと、星司と雄一の誘拐犯に対する行き過ぎた行為がそれを裏付けていた。

「弟だったんだ…」

優子が理解したことを知り、陽子は寂しげに微笑んだ。やっぱり敵わない…

「やっぱり優子ちゃんは凄いね」

「不思議に思ってたんです。星司さんが手島さんにあの人の骨を折らせたでしょ。あたしの誘拐にそこまでするかなあって?あの時、恐くて余り考えないようにしてたけど、そういうことだったんだ。悠子さんはあの人達に…」

優子の目から涙が零れた。

「そう、あいつらが実行犯。でも、それを指示したヤツがまだ残ってるわ。幸田美咲が」

「幸田美咲…」

優子はその名をつぶやいた。

―アハハハハ…―

その瞬間、まだ見ぬ幸田美咲の高笑いが聞こえたような気がして、悪寒が走った優子は身震いをした。

「どうしたの?」

「い、いいえ、何でもありません」

耳の奥に残る響きを振り払うように、頭を振りながら答えた。

「大丈夫?顔色悪いけど」

「大丈夫ですよ。ホラ、今日も元気一杯」

心配を掛けないように、優子は無理に立ちあがって力拳を作って見せた。

「ならいいけど」

心配顔をしながら陽子も納得した。

「ねえ、陽子さん、悠子さんの写真を見せて貰えませんか?」

優子は自身の心の中のどんよりとしたモノを振り払うように話題を変えた。せっかくなのでこの時とばかりに、優子は以前から頼みたかったことを陽子に言った。



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