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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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相手の幸福を本気で願うという事…-3

「ただいまぁー。」

誰も迎える事もないガラッとした暗い部屋に向けてそう言い放ち、スイッチを押す。

部屋は相変わらず貧相さが残る、とは言えビール缶が転がってるとかつまみが散らかってるような光景は目にせず…、今に思えば絵に描いたような貧相っぷりだよな、それ。

「ん?」

不意にテーブルの上にある物を目にし、それを拾い上げる。それはコンビニや書店で見かける求人誌だ、俺も柊さんも買ってないし、それに所々折り目や×印が…、まさか親父の
奴、少しは…、ふっまさかね。でも心の負担が少し軽くなった。

親父が特に問題を起こさない今だからこんな風に思うのかも知れないが、やはり青森に行く必要何て別に…、とはいえ兄とこの前過ごした事、もし実際に暮らしたら…もっと裕福になるのでは、と。

何より柊さんはどうなる?青森へ行ったら君と別れなきゃいけないんだぞ?でも彼女は
あえてそれでも行って欲しいと言った、それは俺に幸せになって欲しいから、そんな彼女の想いを蔑ろにしてまた俺の勝手な独断で突き進んで良いのだろうか?

悩むな、どうしたら彼女は…。

取りあえず夕飯の支度とケータイをポッケから取り出す、すると。ケータイからメールが
届いたランプが点灯しており、開くと柊さんから。

「佐伯君へ…、私のせいで君を困らせてしまって御免なさい、きっと今頃私の為にどっちが一番賢明なのか必死に悩んでいる事でしょう。私は前に青森へ行って欲しい、と言いましたが、あれは取り消します、どっちでも構いません、どっちの道を選んでも私はもう
悩まないし、君の選んだ道を信じる事にします」

ケータイメールにしては長文だ、まるで手紙のようにも見える、今まさに俺が気になってる事がそのまま返信されてきたみたいだ。

「柊、さん。」

きっと深い想いを抱いて打ったんだろうな、俺は案の定打ち返す。

「気にしないで…、俺の事を想って言ってくれたんだよね、分かったよ、決意が出来たら
直接伝える。」

さて、夕飯の支度だ、今日はカレーだ。


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