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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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彼の居場所-9

腕時計コーナーに居る筈の二人がなぜかフードコーナーに居て案の定たこ焼きを二人で
食べていた。

「美味しいか?」
「あぁ!俺は基本豚まんが好きだけどこれも結構好きだ。」
「俺はたこ焼き、んでお前は豚まん、昔っから変わらないなぁー。」
「兄さんは仕事順調?」
「あぁ、優華も働いているが仕事と家庭を両立してくれてる。」
「へぇー。」
「優華は良く出来る女だぞー、料理も美味しいし洗濯もキレイで。」
「……。」
「休みが合えば今日みたいに楽しく観光何かして。」
「いいなぁ…。」

本当にワキアイアイとする佐伯君、この後早めの夕飯を食べて…あの家に帰るのか。
そりゃ一条君や私が色々と働きかけてあの駄目親とも離れ生活も豊かになったけど。

「なんだよソレー。」
「いや、ホントだってぇー。」

無邪気に、そして幸せそうに笑う佐伯君。

彼の居場所は、あの家ではない…

彼が本当に居るべき場所は……

彼が幸せに、もう二度とあんな自分勝手な親のせいで泣いて自分を責め悩んで胸を締め付けられ苦しい思いをしない場所は、あそこじゃない

もう、彼の悲しむ顔何て見たくない、彼が笑顔で幸せでいられる場所はあそこじゃない
私の居る所じゃない。

私の、居る所じゃ……

旅館で感じたあの違和感の正体がようやく掴めた

私はもう、悩まない。

次回、26話に続く。


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