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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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彼の居場所-5

私たちは予定通り彼のお兄さんの居る青森へ遥々足を運んだ。

「あー、兄貴ー今駅に着いた、うん美術館な、了解。」

青森には思えば初めて行く、しっかりと身なりを整え礼儀正しく手土産袋をぶら下げ。久しぶりにお兄さんに会いに行く事になるんだ、それに彼の婚約者さんには初めて会うことになるわ、…一体どんな人だろう、良い人だと良いな。

「行くよ柊さん。」
「はーい。」

ケータイをパタンとしまい、駅を出る。こんな時ビシッと「若葉」って呼び捨てしたら
カッコいいなぁーって思ったり。

「お兄さんとこうしてじっくり会うのは久しぶりじゃないですか。」
「そーだなぁー、あの時は軽くあっただけだし。」
「楽しみ、ですか?」
「…あぁ!声聞いて何だか安心した。」
「へぇー。」

彼のお兄さん昴さんは彼が小さい時から弟を可愛がっていた。一緒に遊んだり時には喧嘩
もしたけど、あの駄目父親が暴力を振るおうした時も庇ってくれてたり。思えば仕事で
忙しいのに青森から北海道まで、割と遠い筈なのに…この前あの駄目親がやらかした事を
お兄さんに打ちあけたら、自分の事のように父親を避難してくれて。

お兄さんを語る時の彼の顔はとても生き生きしている。


それから駅から徒歩10分もしない内に雑誌にも載っているという美術館の入口へ到達し
案の定二人が待っていた。

「あっ、お兄さん!お久しぶりですー。」
「やぁー若葉ちゃん。」

清潔感に溢れる身なり、前あった時よりも割と軽い…まぁ年上の方からしたらそうなんでしょうね。私は忘れる前にきっちりと手土産のロールケーキを差し出す。

「これっ!つまらないものですがっ!」
「いやー悪いねぇー。」

これも花嫁修業?いやいや、すると彼の横にいた女の人が一歩前に出て。

「まぁ、とっても礼儀正しいのね貴女。」
「えっ、あの。」
「あー彼女は優華、一之瀬優華。」
「ひょっとしてお兄さんの、婚約者。」
「そうっ!まだ式は挙げる予定はないけどね。」

その人一之瀬さんはとても上品で長髪に茶髪にカールの掛かったヘヤースタイルがとても
似合っていて、まさに大人の女性だ。

「じゃ、早速絵画鑑賞と行きますか。」
「はい!」

何かさっきから私ばっかり喋ってる、もし彼に嫁いだらこうも積極的になるのか。


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