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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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彼の居場所-3

「まぁ、一条君ったらそんな事を…。」
「あははははははぁー♪」

聞くと彼はその日バットであの部屋でアイツを追っかけ回したそうだ、そのせいで部屋は
滅茶苦茶、奴も泣きながら家から死に物狂いで命拾いしたそうで。

「お前らなぁー、人ん家何だと思ってんだ。」

確かに、部屋をキレイしたいのか汚したいのか。

「ったく蓮ーお前がそれした後、大変だったんだぞ?もぅー壁にヒビは入る、窓ガラスは
割れる。」

何だろう、笑っちゃいけない筈なのに、何だか。

「でも手伝ったよね?修理代だって僕の親がどうにか払ってくれて。」
「まぁーな。」
「幾らなんでもバットで…物を壊す何て恐ろしいですわ、一条君。」
「いやいや、瓶で危うくアイツを撲殺しようとする人程では…。」
「…うふふ。」
「あははぁ♪」

私と一条君に妙な視線を送る佐伯君。

一番強いのは佐伯君だと思っていたけど違って、案の定巴ちゃんかと…でもそれも違った
もしやこの4人の中で一番怖いのは…。

「…やっぱり、このままじゃダメみたいだね。」
「そう、ですね。」
「……。」

佐伯君も考えに考え抜いて青森へは行かず、私と居る事を決意したのに、これじゃー。

「何落ち込んでんだよ、二人とも。」
「でも…。」
「あんなのいつもの事だ、大丈夫このくらい覚悟はしてたし今更決意を変える気はない」
「佐伯…君。」
「柊さん、また掃除付き合ってくれる?後買い物も。」
「う、うん!いつでもどうぞ。」

でもお金が、食材も家賃だってアイツが全部溶かして。

「そこは大丈夫だよ。」
「え?」

どうやら昔母親が亡くなった時に多額の保険金を掛けていたそうで、父親の性根の悪さに
気づいた親戚が息子の佐伯君にだけ振り込まれるようしてくれて、幸い父親もその金を
脅して奪い盗る真似はしなく。

「そっかぁー。」

これからは佐伯君と何度も掃除と買い出しが出来る、そう思うと何だかワクワクする。

「でも可能性はゼロじゃないよね。」
「どういう事?」
「あの男が息子であるあたるからいつ激怒してお金を奪い盗ろうとするか。」
「そんなっ!…でも、考えられますね。」

あの様子じゃーその危険性は否定出来ない、と言うより買い出しを何度してもアイツが。

「ほーんとあの人邪魔だよねぇー。」
「えぇ。」
「……。」

親として何もしてあげないのにも酷いのに、その上私達が必死に彼を救おうとしてるのに
今日みたいに邪魔されて。本来なら消えて欲しいのだけど世間的に放せる訳もないし、何よりあんなのでも彼にとっては血を分けた父親なのだから。

「厄介だね。」
「何かいい方法ないのかしら。」

3人で肩を並べ、静まり返った夜の街を歩く。

「……やっぱり殺した方が良いよ、まずは酒で酔わせ、事故に見せかけて川にでも放り投げて、僕らのアリバイも、そうだな君に偽証してもらって。」
「いつ殺りますか?」
「そうだねぇー、明後日はぁー駄目だな、特番やってるし明日は部活だし。」
「決まったらカレンダーに書いときますね。」
「カレンダーって、あの八百屋の店にある。」
「はい!お爺ちゃんの「組合に行く…」の横に「父親、逝く」って。」
「おほっ♪それ良いね。」
「はいはいはいはいっ!ストップストップ!」

思いっきり手をパチンとし、私たちを制止する。

「冗談はさて置き、これじゃー。」
「大丈夫だって、俺なら。」
「やだなー、佐伯君が辛い思いする何て。」
「そうだね。」

ホント、どうしたら。私と一条君で悩んでると佐伯君が突然私たちを抱きしめ。

「ありがとうっ!ホントにっ!」
「佐伯…君。」
「大好きだよっ…、俺、頑張るから。」

理屈だけじゃ、でも、頼もしい。

「まぁ取りあえず一条君の家で鍋しましょうか?」
「え、鍋…何の事?」

やっぱり…

「それはそうと今度の休みの日兄貴ん家行くわ。」
「えっ、さっき頑張るって…。」
「そうじゃない、ちょっと遊びに行くんだよ、休暇が取れたっていうから誘われて。」
「へぇー。」
「柊さんも来るよね?」
「はい、是非!」

もうお兄さん達に用はなくなったけど、彼は佐伯君の関係者、と言うか彼の頼もしい味方
会って関わって損はない。



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