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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
【フェチ/マニア 官能小説】

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艷男-4


「今日、お前の様子をみて最終結論を出そうかと思ってたんだがな…

だいぶ前からオファーの来てた役だ──…お前には無理だと思ってずっと断ってた…」


「勝手に決めんなよ」


「いや決めるさ…無理な役をやらせて評判落ちれば今後の俳優業に大きく響く──」

「………ガキの俺には無理って役なわけだ?」

「ああ…まあな──来てたのはコレだ…」

社長はそう言って脚本を見せた。


「源氏物語──…」

タイトルにそう書かれてある。

「ああ、まあ昔でいうポルノだな…その代わり単純なエロではその辺の大衆ポルノと変わらん。それじゃ困る──」

「………」

「源氏物語の主役と言えば数々の浮き名を流した“光源氏”スケコマシだ」

「スケ…っ…」

「いいかえれば艷男(色男)だ──艷だ、艷がないといかん…それこそ台詞を語らずとも表情、仕草だけで滲み溢れる艷!

画面の向こう側の女達を触れず喘がせて逝かせるそのくらいの艷だ!俺が思うのはな。
……それがないとただの安いポルノになる…そこが難しい所だ──

できるかお前に?あ?やってみるか?やれそうか──?」

社長は立て続けに詰問してくる。




「役に負けそうなら無理はするな…評判ガタ落ちになる」

「──…っ…」

「その代わり──巧く自分のモノにしてみろ?すごいことになるぞ…

藤沢 聖夜──

名子役の名を塗り替えて一流役者へ華麗な転身!

てな…マスコミは違った面でお前を讃えるだろうな…その代わり落ちたら悲惨だと思え。
──そしてその覚悟がないならこの話は蹴る……お前は引退して専業主夫の夢でも叶えりゃいい。

どうせこの殻を破れなきゃお前は永遠に“元、名子役の藤沢 聖夜”のままだ──

そんなのは内の事務所にも要らんからな──」


「──…っ…」

そう言って真っ直ぐに見据える目。


今のお前に賭けてみる──

要らないといいながらも社長の目は俺にそう語り掛けてくる──。


「ふんっ…いいよ、負けず嫌いだしね俺は──要らないって言われるくらいなら、辞めてくれるなってしがみつくあんたを蹴り捨ててから辞めてやるし──」


「はは、言うな?──まあ、覚悟あるんならいい。先方に承諾の返事を入れとく。カツラを被りやすい様に髪は伸ばしておけよ?あとイメージあるから茶髪も戻しておけ。承けた以上、役作りはもう始まってるからな」

「わかってるよ」




ニヤリとした社長を前にして、言い切った後の祭りだった──


「しまった……やられた…っ」


事務所のトイレで頭を抱えてしゃがみ込む…

百戦錬磨の社長に乗せられて思わず承けてしまった。

しょうがない

俺負けず嫌いだし──


「たはっ…」

蹲ったまま頭を抱える。

そういや毎回そうやって社長に唆(そそのか)されてきた自分を思いだして思わず唸り声が漏れた。

俺の返事待ちだったらしいそのドラマは俺の応え一つで早速、撮影が決まる。

勿論、休暇返上──ってやつだ。

晶さんと一緒に過ごせる日が確実に削られたっ!…


「せっかく二人きりだけで過してたのにっ晶さんから離れなきゃいけない……」

力なく切ない溜め息が漏れる……

家主の居ない幸せに満ちたあの家。まるで新婚生活そのものだった──。たった二週間だったけど濃密な時間を過ごしてたお陰かえらく長く居たような錯覚に陥る。

“ほとぼり冷めたら出ていく──”

ほとぼりは冷めてないけど出ていかなきゃいけなくなってしまった…




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