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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
【フェチ/マニア 官能小説】

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平凡なひび-1

◇◇◇



ピピ… ピピ…

「ねえちょっと!」

「ん──…」

うつ伏せの体をぐらぐら揺する。

「ねえ晶さんっ!!」

「は、い……」

「これって何の為の目覚まし!?」

「起きるため…」

「………」


夏希ちゃんがうちにきて一週間…

朝シャンしてバイトに行くまでの貴重な時間。リビングのソファでうたた寝するあたしの目覚ましを夏希ちゃんは部屋から態々止めにやってくる。

言わば、夏希ちゃんはあたしの第二の目覚まし。

「夏希ちゃんいつもありがとう」

目が覚めたらおはようの代わりに真っ先にお礼を言う。先手を打っておくと夏希ちゃんは怒るに怒れないらしい。
大人の世界で小さいころから芸能の仕事をしてきている夏希ちゃんは若いなりに、自分のことは自分でキチッとできる自立派だ。


「なんで朝シャンして二度寝する?次は止めないよ?毎回部屋からきて起こすのしんどいから!」


顔を洗って洗面所から出てきたあたしに、ため息吐きながらそう言った。

あれっとうとう怒っちゃった?

夏希ちゃんはなんだか不貞腐れた顔で部屋に引っ込んでいく。

「うーん失敗…頼り過ぎたかな」

ははっと笑いながらその背中を見送ると、あたしはバイトの準備を始めた。

髪は手入れの要らないストレートのショートだから手櫛でオケ!

上京しても一向に職は決まらず何気に始めた喫茶店でのアルバイト。

ゆくゆくは自分のコーヒーショップを開きたい。いつしかそう思うようになっていた、実は今はこれがあたしの夢!


部屋に閉じ籠った夏希ちゃんに“いってきます”と玄関から叫んで、あたしはバイト先に向かった。

「おはようございます!」
「おはよう、晶」

看板を出していたマスターに挨拶をしてあたしはタイムカードを押した。

広い家に一人で居た時より、夏希ちゃんが来てから何気に快適な生活が送れている。

開店前、あたしは大きな窓ガラスを拭きながらその手をふと止めた──


でもほとぼりが冷めるまでって──

一体何があったんだろ?

芸能プロダクション社長の叔父を持ちながら、あたしは芸能関係に詳しくないからスキャンダルってのもわからないし…


ほとぼりが冷めるまでは夏希ちゃんは外にもあまり出れず、うちに缶詰めだ。

「ただいま──」

「おかえり」

「あれ、何してんの?」

バイトから帰って台所にたっていた夏希ちゃんに声をかけた。

「冷蔵庫の食材借りてなんか作ろうかと思って」

「えーなになに、夏希ちゃん料理できちゃうんだ?へえー」

「前に料理のドラマやってた時に覚えた…」


単純に感動した。

回りを彷徨いて手元を観察しながら感心した声を上げるとなんか、はにかんで照れてる。

やっぱ何か可愛いな〜コイツ!

「ねえ、なに作るの?」

あまり身長差がないお陰で肩に顎を乗せて甘えて聞いてみたら……

「近いっ…」

「すぅぐ怒る…」

しょうがないから距離を置いて眺めた。

「食材使っていい?」

「いいよ」

離れたあたしに今一度確認する。

「ねえ…前から気になってたんだけど──」

夏希ちゃんは背を向けたまま訊ねてきた。

「……?」

「なんで本名で呼ぶの?」

材料を刻む軽快な音が耳に響く。

「いや?」

「嫌じゃないけど…子役からずっと聖夜で呼ばれてるのになんでか気になったから…」

「夏希って名前可愛いじゃん?あたし聖夜よりイケルと思うけどな?」

「………芸名は社長のセンスだから…」

「だね」

さりげない会話がなんかホントに弟と居るみたい。
短いやり取りをして一旦、自分の部屋で部屋着に着替え、あたしは上から軽くシャツを羽織った。



リビングに戻り、テレビの前を陣取ってソファに寝転ぶと皿を持った夏希ちゃんがあたしを見下ろしていた。

「なんでズボンとか履かないの」

「……?」

短パン履いて横になり、片膝を立てて寛ぐ。まんま居間で寛ぐオヤジスタイルだ。そんな姿に夏希ちゃんは物を申してくる。

「履いてるじゃん?」

起きながらソファの上で胡座をかいて座ると目の前のテーブルに焼き飯が並んだ。


「あ、ウマイじゃん!」

「まだ食べてもいないくせに?」

「盛り付けみたらわかるって!」

しっかりと茶碗で型どった半球型の焼き飯。彩りもキレイで美味しそう。

とろみスープまで付けるところに思わず惚れてしまいそうだ。

「夏希ちゃん結婚するか」

惚れた勢いでプロポーズしちゃったり。

足元のカーペットに直に座った夏希ちゃんは、焼き飯を頬張りながら結婚を申し込むあたしを笑い、ソファに肘を掛けて頬杖を付いた。

「てか、晶さんも料理するでしょ?」

「……」

「冷蔵庫に手頃な食材きれいに保存してあったし…作る人じゃないとあれはできないよ」

「見るとこ細かいね?」

「いろんな人間見てきてるからね」

そう言いながら夏希ちゃんはあたしの顔に手を伸ばした。

「野生児…」

そう言ってプッと笑うとあたしの顔に付いていたらしいご飯粒を取って自分の口に入れる。

「おまけに無防備…」

そう呟いて意味あり気に見つめる夏希ちゃん。

ん?ちょっと視線が妖しいですが…

何だかその視線が短パンから出た胡座をかくあたしの素足に注がれていた。



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