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【痴漢/痴女 官能小説】

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幸田美咲と大木太郎-4

「でも、程ほどにしないから、こんな目に遭うんだよ」

美咲は親をからかうのを止めて、真剣な顔をして話題を変えた。

「こんな目ってどういうことだ」

娘に翻弄されるまま、それに大木は食いついた。

「わざとボケてんの?あんたの今の状況のことだよ。調子に乗ってたみたいだけど、結局失敗続きじゃないか」

「失敗続きだと?」

プライトの高い大木は、自分のことに否定的な意見はおもしろくなかった。そんな大木を気にせず、美咲は続けた。

「まず初めの失敗は、民新自由党を飛び出したことね。あのまま残っていたら、総理にも成れてたのに勿体ないことしたもんね」

実際、今の冷遇を考えると、美咲の言う言葉はあながち的外れでもない。大木は渋々ながらに聞き入れた。

「その頃のあたしが政治のわかる歳だったら絶対に止めたのに。その後もお母さんの言うとおりに、直ぐに戻ったら良かったんだよ」

「男が一旦決めたのに、そんなに直ぐに戻れるもんか」

再三、妾から助言を受けていたが、当時の大木は聞く耳を持たなかったのだ。

「お母さんも言ってたけど、ほんとプライドが高いだけの男は困りものね」

「うるさい」

「まあいいわ。でも、一番の失敗は、正民党と合流したことよ」

美咲は、当時、勢いの出てきた野党との合流が失敗だと示唆した。

「政権交代のチャンスを、政治家として見逃せるものか」

当時、政権与党だった民新自由党はスキャンダルにまみれていた。マスメディアもこぞって民新自由党のネガティブキャンペーンを張り巡らせていたので、政権交代の千載一隅のチャンスだったのだ。

「あたしは止めたよね」

『呆れた』っという表情で美咲は言った。この頃の大木は、妾の言葉に耳を貸さなくなっていた。『言っても無駄』と嘆く母親に代わって、美咲が助言をしたことがあった。別に父親のために助言したわけではない。まだまだ利用をしたいだけだった。

「上手く政権が取れたじゃないか」

「確かにね。でも、主義主張がバラバラなまま、政権交代の勝ち馬に乗った烏合の衆の集まりだよ。上手くいくわけないじゃないの。案の定、直ぐに馬脚を現してボロボロじゃないの」

「まあ、確かにな。だから今度は直ぐに抜けたじゃないか」

「その判断も間違いなの!あの烏合の衆の中で黙って2、3年大人しくしてたら、まだ少しは目が持てたのに。あの時もあたしは止めたよね」

「俺の政治判断だ」

「バカじゃない。自分の判断でやったら、全部が裏目に出るのがまだわからないの?」

「俺の判断が間違ってるだと!」

自分の政治的センスを娘に否定されて、大木は声を荒げた。

「それ、本気で言ってるの?」

美咲は冷めた目で大木を睨んだ。

「うっ…」

その内なる迫力を秘めた目で睨まれた大木は身を竦ませた。

「ほんとにバカじゃない。少し上手くいったら自分の実力だと勘違いするんだから」

「な、何だと…」

大木のプライドが辛うじてその言葉を吐き出させた。

「黙れ。今の地位があるのはお母さんの助言のお陰だって、まだ気付かないのか?お前、そこまでバカだったのかよ?」

呼び方が『あんた』から『お前』に変わったが、大木はそれを咎めることもできなかった。

「た、確かに、そんな時もあった…」

男として認めたくはなかった大木は、握った拳にグッと力を込めた。

「『そんな時しかなかった』だろうが。そのお母さんも当てにならないから、今後の指示はあたしが出すからな」

美咲は父親を裏から支える母親を尊敬していた時期もあった。しかし、目の前の愚かな男の暴走を止めることができない状態が続くと、いつしか母親に対しても尊敬も薄れて、軽んじるようになっていた。美咲は自分にそう思わす目の前の男を、心の底から蔑んでいた。

「しかし、今は昔と違ってマスコミもうるさいし、コンプライアンスの問題もあって色々難しいんだ…」

「バーカ。そのためのあたしだろうが。まあいい。お前にはまだ利用させて貰うんだから、勝手に動いて自滅するなよ」

「うっ…」

もう、大木は反論しなかった。

「お前も、もう一回くらいは浮き目を見たいだろ。だったら、あたしの言うことを聞けばいいんだよ。昔、お前がお前の女の言葉に耳を傾けてたみたいにな」

娘の冷めた言葉の上に、その母親の絶頂の声が被さった。

『いやあああん、イクウ、イクウウウウウ』

「きゃはは!お前の女、まだまだいい声で鳴くじゃないか。たまにはあんな声で鳴かしてやれよ」

「ぐっ…」

絶句した大木の心の中は怒りで煮えたぎっていた。しかし、美咲の前では、その怒りを鎮めなければならないことを大木は知っていた。




(注)英語の台詞は私の語学力の範囲で適当です。間違いがあってもツッこまないで下さい。


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