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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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憂鬱な旅館-5

「キレイ、だね。」
「そう、ですね…。」

料理を食べ終え、温泉に浸かり旅館が静まり返り、私たちも部屋へ戻り、窓の向こうの湖を眺める。

何時までこんなやり取りが続くんだろう…、旅館へ出向いて心の奥底から楽しいって思えた事は結局なかった。

夜風が私の体を包み込む。

「大丈夫?」

やめて

「寒くないか?」

そういうの、もういい!

私は耐えきれず涙が零れてきて。

「旅館、楽しかったなぁー、安いとは言え料理も旨かったし温泉も気持ちよかった。」
「あの!」

もうそろそろ本音を言いだそうとするも遮られ。

「また、来ような。」
「え?」

今、何て…。

「佐伯…君。」
「来年あたり、が無難だろうかな。」
「でもっ!君は!」
「行かないよ。」
「へっ?」

きっぱりと言い放つ。

「色々考えたけど、やっぱり。」
「でも、それじゃー。」
「確かにあの家に居るのは辛い、でもそれ以上に君が悲しむのはもっと辛い。」
「……。」
「いや、俺が、君と居たいんだ!これまでもそしてこれからも…。」

今まで背負っていたものが降ろされ、一気にラクになった気分。

でも、何だろう…これが正しいのだろうか。

「どうして、何でもっと早くに言ってくれなかったんですかぁ!?」
「ゴメン、俺がそう言う事によって傷つくんじゃないかと思って。」
「傷つきましたよ、もっと早くに言ってくれれば。」

そう、ゲームコーナーも料理も温泉も全然味わった感覚がなかった、彼のせいで。

「自分から誘っておいて君にそんな思いをさせてしまったな、本当駄目だな、俺。」
「……。」

今回ばかりは否定してあげられない。

「もう、青森にも何処にも行かないよ!ずっと君の傍にいる、傍に居たいんだっ!」
「佐伯…君。」

後ろから包み込むように抱きしめる彼。

嬉しい、嬉しいけど…。

次回、25話へ続く。


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