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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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落書き犯の正体-3

絵画コンクールで、風馬君を映画に誘ったものの断られてしまった。故に今は彼と会うのは少し気まずい、それでも顔を合わせなければいけない、それが職場、それが学校と言う
ものだ。

きっと、彼の中では未だ柊さんの存在が根付いているのだろう、でも彼女にも彼氏がいる
つまり叶わぬ恋、それはまさに今の私と同じ。

彼は今どう思っているのだろう、ちゃんと叶わぬ恋を断ち切れているのだろうか?それは
分からない所詮他人の考える事など分からないのだから、誰にだって。けど、一つ言える
事は、少なくとも私は断ち切ろうとしている、そりゃー簡単に出来る事ではないけれど。

「おっ、殺人鬼が教室入っていくぞ。」
「恐ぇー。」

その声に何気なく振り向く、するとそこは風馬君の教室。見るとガラの悪い男子二人が
彼に攻め寄っているようで。

「何で犯罪者が堂々と学び舎に足を運んでこれるかね。」
「そーだそーだぁ!お前何か刑務所行けよっ!」
「……。」

ひたすら体を硬直し、強気な体制でいる彼。

…私は、彼にフラれた。叶わぬ恋だから。故に今の彼は私にとっては何でもない存在。
だから、彼が苛められようと、もはやどうでもいい話…。

「おーい、黙ってないで何とか言えよぉー。」
「そっか、刑務所じゃなくて少年院か。」

だから、私は…。

「さぁーて、こういう人間のクズは一回絞めなきゃダメだなぁー。」
「誰も、教育しないなら俺らが…、痛でっ!?」
「教育が必要なのは、アンタ達の方でしょ!」
「あんだってめーはぁっ!!」
「稲葉、さん?」

どう頑張っても彼は私に振り向いてはくれない…、でもっ!それでも、彼には幸せになって欲しい。

ツカツカと駆け寄り、そんなバカ男子に思いっきり蹴りをお見舞いしてやった。

「もし彼が殺人犯なら、とっくにこんな所に居ないでしょ!」
「るせーよ女子!すっこんでろ!」
「にも関わらずそうやって二人で一人を追い詰めて、さいってぇーっ!」
「何だチビ!こいつの事が好きなのか、ひゅーひゅー♪」
「違うわ、そんなんじゃ…、でも同じ部員が嫌な事されているのを見過ごせないわ!」
「良い子ぶりやがって、まずはコイツから絞めて。」
「止めろっ!女の子相手に何してんだっ!」

それまで口を閉だしていた風馬君が牙をむき。

「あんだてめぇーっ!」
「この人殺しがぁ!」
「僕にどう下らない憶測で罵ろうが構わない、でもっ!関係のない稲葉さんに手を出すのは許さないっ!」
「てめっ!」
「行こう、稲葉さん!」

一瞬の隙を突いて逃げ出す彼、私の腕を掴んで。

教室の落書き騒動は柊さんから聞いた、あの男子許せない、でもそれ以上にそんな落書き
を犯人はもっと許せない!

「!!」

不意に視線が刺さる、振り向くとそこには…。

嘘、まさか…あの人が。


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