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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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遠き日々-5



「面白いこと?」

「ああ。あの野郎、今じゃ北海道なんかに住んでやがるが、ほんの少し前までは、この近所に住んでたんだ。」

「この管内の奴なのか!?」

「そうだ。2浪してやっとこさ向こうの大学に入ったのに、何を考えてんだか、わざわざこっちに戻ってきて刺されてやがる。気の毒というよりはアホだな。」

「なんで、こっちに戻ってきたんだ?」

「そりゃ、わからねえが……」

不意に声を低くした。

「どうにも野郎の変態趣味は今回が初めてじゃねえらしい。俺の同僚が野郎のことを覚えてた。」

「なにかやったのか?」

「強制わいせつだ。16のときに公園で遊んでた女の子に悪さして補導されてる。」

「強制わいせつ?子供にか?」

「そうだ。」

「ちょっと待て。俺はそんな事件知らねえぞ。」

シンドウは少年課で刑事になった。
あのガイシャは確か二十歳のはずだったから、16といえば4年前になる。
4年前なら刑事ではなかったが、すでに籍は少年課にあった。
しかし、シンドウの記憶には、あのガイシャに覚えがないし、そんな事件があったなどと聞いたこともない。
シンドウの顔を見て、刑事がバツの悪そうに頭を掻いた。

「実は、こりゃ身内の恥をさらすみたいでいいづらいんだが、ガイシャの親ってのがお偉い代議士センセーなんだ。」

「代議士だと?」

「ああ……」

「それで、その代議士センセーとやらの息子をどうしたんだ?」

「わかんだろ?」

「ああ。なんとなくはな……。」

揉み消したのだ。

「向こうの親と無理矢理示談させて事件そのものを揉み消したんだ。
 あのガキを公園でパクったのが、たまたまそこを通りかかったうちの奴でな。
 署に連行する前にガキの身元がわかったんで、奴は上に報告するより先にその代議士センセーのところへ連絡したのさ。
 当然、向こうは揉み消しを図って野郎に金を掴ませ、それで、そいつは向こうの親にあることないこといい含めて、結局、被害届を出させなかったのさ。」

「なんだとぉ?」

「ひでえ話しさ。
 まだ4歳の女の子だったそうだが、突っ込まれて膣は裂け、股関節脱臼にまでされて将来は子供が産めるかどうかもわかりゃしねえ。
 親は死んでも許さねえと息巻いたらしいが、被害届を出せば強姦の事実が明るみに出る。
 それに、4歳じゃ証言能力も乏しいから無罪になる可能性が高い。
 おまけに野郎は未成年だから、たとえ有罪になったとしても刑務所には絶対に行かない。
 だったらおとなしく金をもらって黙ったほうが利口だ。
 そんなことを散々吹き込んで奴は親を黙らせたのさ。」

「ひでえ話しだ。あんたンとこはほんとに腐ってやがるな。」

呆れて、声を荒げる気にもならなかった。

「まったくだ。それでもっと腹が立つのが悪い奴ほど出世しやがるってことさ。」

「おい、そのデカってのは、まさか……」

「うちの課長だよ。それまではたいした成績もなかったくせに以来トントン拍子に出世して、今じゃ課長様だ。」

シンドウも捜一の課長が異例の出世をしたのは知っていた。
目の前の刑事がいうように、彼はたいした功績もないまま課長まで一気に昇進して駆け上がったのだ。
当時は、所轄の七不思議といわれるほどに奇妙な人事だった。
だが、裏にそんな事情があったのなら頷ける。
しかし、それを知っているということは……。
シンドウは、刑事の顔をじっと見た。
目があって、刑事のほうもシンドウが何を考えているのかわかったらしい。

「ご想像の通りさ。
 俺も人様に胸はれる仕事なんかしちゃいねえよ。
 野郎の手先になってお先棒を担いだこともあるさ。
 デカの給料なんざキツい割りには見合ったもんはもらえねえからな。
 ちょっとぐらい小遣いでも稼がなきゃ、育ち盛りのガキどもを食わせられなかったんだ。」

揉み消した事件の詳細を知っているということは、この刑事とその課長の間には何らかの結びつきがあるということだ。
でなければ、表に出るはずのない秘密をこいつが知っているはずがない。

「なんで俺に話す気になった?」

シンドウの瞳は刑事に向けられたままだった。

「ああ?なんでだろうな?だがよ、ついこの間、うちの娘が孫を産んだんだ。」

「アンタ、爺ちゃんかよ?」

まだ五十にもなっていないような刑事の顔だった。

「おお、親に似て気の早ええ娘でな、いつの間にか男とくっついちまって子供まで産みやがった。」

刑事は自重するように笑っていた。

「これが女の子なんだがな、まったく……なんていうか、その……可愛いんだ。
 俺が抱いてやるとな……笑うんだよ……。嬉しそうに笑うんだ。
 それでな、その孫を眺めていたら、俺みたいなクソったれでも人並みなことを思うわけさ。幸せになってくれよ……ってな。」

シンドウには、目の前の男が孫を抱いている姿が容易に想像できた。
男が嬉しそうに笑っていたからだ。

「ホテルであの娘が赤ん坊を抱いているのを見て、すぐに孫を思い出した。
 トランクの中身を見て想像はついたが、あんなところに赤ん坊が居ていいわけがねえ。 あれが俺の孫だったらと思ったらぞっとしたね……」

「それで?」

「それで……って別にそれだけだよ。」

「俺たちをわざわざ迎えに来たのはそれが理由か?」

「ああ?」

「あんた、あの赤ん坊を早く保護したかったんだろ?だから、わざわざ下りてきて、俺たちが来るのをずっと待っていた……」

「…………」

「あの赤ん坊に、孫の顔が重なったか?」

「どうにもな……」

「それで、あんたはどうしたいんだ?」


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