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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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わずかな光-1

第24話 〜〜「わずかな光」〜〜


30年前……


「馬鹿者!お前は、我が家の家名に泥を塗る気か!!
 あんな女に騙されおって!
 あいつは、我が家の財産だけが目当てなのだぞ!」

「違う!彼女は、そんなんじゃない!」

必死の抗弁など、なんの役にも立たなかった。

「金でケリをつけてこい!
 いいか!間違ってもあの女を重丸家に入れようなどと思うなよ!」

元は、九州の豪族。熊本でも有数の大地主。
そして、六芒星の家紋を持つ歴史ある名家。
それが、俺の生まれた家。

「もう、彼女のお腹には子供がいるんです!
 僕の子です!」

「馬鹿者!何をたわけたことを!
 あんな女の言っていることなど信用出来るか!
 どうせ、どこかの馬の骨が孕ませたに決まっとる!
 お前は、騙されているんだ!」

「違う!!」

まだ高校に通うガキでしかなかった息子のつくった孫など、父は見たくもなかったらしい。
行きつけの喫茶店に通い詰め、年上の女の情の深さにのめり込んでいた。

「この恥知らずが!しばらく頭でも冷やしてこい!」

結局、父は金でケリをつけた。
臭いものに蓋をするように、俺は東北の縁者の元に送られた。
子供の顔すら、見ることは出来なかった。
だが、心のどこかでホッとしていたのかもしれない。
まだ、青臭いガキだった。
やりたいことも、山のようにあった。
東北に送られてから数年。
俺は地元の高校、大学と通い、それなりの学生生活を送っていた。
彼女のことも、忘れかけていた。
無理に忘れようとしていたのかもしれない。
公務員試験に合格し、もうすぐ県の職員となることが決まっていたあの日、突然彼女から一本の電話が掛かってきた。
きっと、必死に俺の連絡先を調べたに違いない。
久しぶりに聞く彼女の声は、以前とまったく変わっていなかった。
懐かしい声。
しかし、郷愁に胸を熱くさせることは、出来なかった。
受話器の向こうで、彼女の声は震えていた。

「あの子が……あの子が、いなくなったの……。」

「えっ?」

「志帆が……志帆が、いなくなってしまったのよ!!!」

悲痛な叫び声が、耳の中でこだました……。



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