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二人の星とアイス
【悲恋 恋愛小説】

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二人の星とアイス-1

泣きながら、うずくまってた…何度も名前を呼びながら。『翔、翔…うっ、ひっく…えぇぐ…』あの夏、北斗七星の下で私たちは出会った。私は、村田優七(むらたゆうな)夏休みに入り女の子同士でペンションに遊びにきていた。良い気分でいたら、地元の男の子たちが『ねぇねぇ、花火するんだけど一緒にやらない?』と誘ってきてちょっと酔っ払ってたから勢いで参加し楽しんでいた。打ち上げ花火を見ながら『たま〜や〜』と空を見上げた、消えていく花火の後ろには私の名前の元『北斗七星』が現われた。私の横には男の子が立っていた。それが翔だった。少し、鼻筋が通っていて綺麗な目で『北斗七星』を見つめる横顔に何故か見とれていた。はしゃぎすぎで気分が悪くなった私は座っていた…『き、気持ち悪い…はきそ…』と限界寸前の私がうずくまっていると、そっと背中を優しくさする手が温かくハスキーな声で『大丈夫?』と聞いてきた、翔だった。『ん、大丈夫だよ』と私は手を払い除けその場をあとにしようとした時、ふっと視界が消えた…『ゆ…ちゃ…ゆ、ちゃん…優ちゃん!大丈夫?』『んん、誰?』と呼ばれたので起きると、朝でペンションの布団にうずくまって寝ていた。『あ、市来おはよ♪』『…おはよ♪じゃないわよ…昨日は抱えられて来るし飲みすぎだよ?』やば…あんまり覚えてない…『ごめん、市来。迷惑かけちゃって』『いや、それよか運んでくれた翔くんだっけ?に感謝するのね。』『翔くん?誰だっけ?……』かすかな記憶をたどってみる…『あぁ、花火をした男の子だ…』迷惑かけちゃったなぁ…『はい、コレその優ちゃんが迷惑かけた男の子から』1枚のメモだった[酔っ払いさんへはしゃぐのも良いけど、考えて飲もうね。なんかお礼がしたければこちらへ090-****-**** 翔]
頭が痛くてもなんとか家にたどりつき丸1日爆睡…ふとメモを見た。『お礼…か…一言電話でもするかぁ〜』トゥルルル…プツ『あ、もしもし?』『はい、もしもし』『あ、あの、先日はペンションで大変ご迷惑おかけしました。優です。』『優?あぁ、って本当に電話来るとは思わなかったなぁ、まだ酔っ払ってます?』わざとだ…『いえ、お礼がしたければと書いてあったので一言言うため電話したの…』『はは、馬鹿正直だね優ちゃんは。気にしないでよ、人間助け合い、それより………』それから他愛もない話で盛り上がった…悪い人じゃなそうだからお礼として割勘?でご飯を食べようって話で終わった。
それから、いくつかの出会いを経て、私たちは付き合うようになった。
でも幸せは長くは続かなかった……あの日が来るまでは……『ねぇ、翔?』『うん?何?』『あたしの名前ってね北斗七星からきてるんだ。親・祖父母・兄弟・友達・動物・物(人形だとか)・恋人の7つに優しい人間であるようにってお父さんが付けてくれたんだ。』『へぇ〜初知り。初めて逢ったときは優しいどころか酔っ払ってたもんな 笑』『もぉ、それは言わないでぇ』なんて冗談で笑いあってた。そんな中、確実にゆっくりと誰にも気付かれず時間は彼を蝕んでいた…ある雨の日、私はコンビニのバイトからの帰りをどうしようかと考えていたら、ブルルと携帯が揺れる。翔からのメール[傘を忘れるやつがいるかよ…今もうそっちに向かってる。着いたらいつものアイス買って帰ろうな]にやける私、[だって、急いでたんだもん。(>_<)じゃあ私、当り付きを品定めします(^^>]いつものアイスとはピノの事。たまに‘幸せのハート’形が入っているのだ。翔と付き合ってから物凄い確率だと思うが8回中8個ハートがあった。あまりにも連続で当たるため、翔は全部に入ってると勘違いしたぐらいだ。『今日はどれにしようかなぁ?ん〜いつもは翔が選ぶから今日はアタシが…んとコレに決〜めた♪』コレが運命を削りとった行動だった……雨が強くなる中やっと翔が到着する。『かぁ〜雨は嫌いだよ、優七とっとと帰るよ。』『うん、アイスが溶ける前にね♪』『うわぁ、雨、スゴッ!』『だな、急いで帰るか。』パシャパシャと足音を立てながら走る。もうそこに翔を蝕むものが来てるのも知らずに…『ほら、優七そっちは道路側で危ないだろが…』『ん、いつもありがと♪』『優七、溶ける前にアイス食っちまうか?また例のやつ入ってるんだし』翔は甘いものが好きですぐに食べたがる。『もぉ、あれは中々当たらないんだよ?当たるのは物凄い確率なんだよ?』『へいへい』そんないつもの幸せのハートを巡る中1台のバイクが雨の中を飛ばしていた…そしてスリップしながら私たちに突っ込んできた……キキィィッッッ!!!!『優七、どけっ!!』ドンッ!!!!……………『ん、んん…翔?大丈夫?』……『!!!!』アイスの蓋に片手をかけたまま血だらけの翔が倒れていた。
『翔?……ねぇ、ウソでしょ?翔、翔、翔…』何度も名前を呼んだそれから、そのまま翔は永遠に私の呼びかけに答えることはなかった…翔の手にあるピノの中身にハートは入ってなかった……………あれから、2年が過ぎ就活で忙しく慌ただしい日々が続いている。私は何度かハートのピノが当たったら翔が『また、出たよ。もう全部に入ってるんじゃないの?』と側で言ってくれると思ってた。しかし、あれ以来買うたびにハートのピノは入ってない。翔が選ぶと必ず当たるピノ。見るたびに買うたびに思い出す。翔と出会った夏を私の名前の星。北斗七星を……… Fin


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