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PALIHALI
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PALIHALI-1

10月21日
頭痛で僕は目を覚ました。人は失って初めて大切さやその必要性を知るんだ。
昨日僕の妻、真琴(まこと)のお葬式だった。
突然の病気。あまりにも急なこの現状を僕はまだ受け止められなかった。
10月21日、今日は真琴の誕生日。
僕はただボンヤリ外の景色を眺めてた。
僕たちが住んでるこの逢瀬町は何も変哲のない田舎町だ。 ひとつだけ有名なのは、逢瀬トンネルって全長20キロのトンネルがあるくらいだ。
なんで有名なのかは、よく幽霊が出るらしくてたまに夏の特番とかでも取り上げてるみたいだけど、僕はまだ見たことがない。
今日は隣町の親戚の家まで、今回のことでの挨拶にいかなきゃならない。
できれば、どこにも出かけたくないし、真琴の思い出が残るココで一人でいたかった。
車を走らせながら僕は真琴のことを思い出してた。
僕たちが出会ったのは大学2年の秋だった。 同じサークルだったんだけど、なかなか話しかけられなかった僕にとってサークルの中でも郡を抜いてキレイだった真琴は高嶺の花だった。笑顔がかわいかった。
付き合うきっかけは今でも忘れられない。
飲み会で、酔っ払ってしまった僕は家に帰る途中で真琴にばったり会ったんだ。彼女はなぜか泣いていた。理由はあとになってわかったんだけど、僕はほっとけなかった。
ただ話を聞くことしかできなかった。
でも彼女は別れ際何度も
「ありがとぅ」って言ってくれた。

ボンヤリ真琴の思い出に浸ってるうちに逢瀬トンネルの手前まで来ていた。
いつもと変わらない逢瀬トンネル。
僕は走り続けた。心なしかいつもと変わらない景色が一層僕の心を沈ませた。
そういえば、大学三年の夏、真琴といっしょに肝試しと称してこのトンネルに来たっけ。
あの時、真琴はちっとも恐がらずにいてちょっと悔しかった。
いつも僕の隣にいた真琴はもういない。
………………
僕は思わず涙で前が見えなくなった。
「どうして死んじゃったの」
僕はまだ真琴の死が受け止められない。
もうすぐ隣町に着く。
またこのトンネルを通って帰るのかと思うと気が重くなった。
いっそのこと死のうかとも思った。
その感情は強く、ひとりで生きてく虚しさを埋める手段を僕は知らなかった。
真琴のそばにいきたい…
一人でいたくない…
……………
親戚の家からの帰り道。
また逢瀬トンネルだ。
僕はトンネルの中を走った。
!?
!?
突然の眩しい光で僕は目が暗んだ。
慌てて急ブレーキを踏んだから、衝突はまぬがれたが、まだ生への執着が残ってた自分を少し呪った。
無事トンネルを抜けると、そこには変わりない逢瀬町の見慣れた景色があった。
少なくとも、その時の僕にはいつもの景色に見えた。
途中コンビニに寄った。

「1480円になります。ありがとうございました!」
元気のいい店員の声もいまの僕には虚しいだけだった。
もうすぐ、家につく。
そう一人ぼっちの家に…

車に戻ると、違和感を感じた。
!?
突然の眠気…僕は夢の中に行ってしまった。


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