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やっぱりそこにある愛
【コメディ 恋愛小説】

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カピバラの来襲-5

浅黒い肌に、明るい茶髪、そして芸能人が真っ青になるくらいの真っ白な歯。


正直、チャラいが、かなりレベルは高いと思う。


こういうタイプは必ず学年に一人はいるタイプだったなあ。


つねに女が隣にいて、それも軽そうでバカそうだけど、そこそこレベルの高い女が。


で、こういうタイプは得てしてブスには非常に厳しいのだ。


「お前、コイツと会った時から冷たくされただろ?」


「え、何で知ってるの!? 会うなり“イメージが違う!”ってキレられたんだけど! んで、挙句の果てには、さっきの“55キロ以上は受け付けない”発言だよ! 失礼しちゃう」


茜の言葉に、俺は額に手を当てながら、深い深いため息を吐いた。


茜が登録している婚活サイトは、登録→プロフィール入力→本人証明の提出を経て利用ができる、信頼できるサイトらしい。


その段階を踏んだ上で、気になる相手が見つかったら、メッセージをしばらくやり取りして、その中で連絡先交換となる。


茜はいつもここまでは上手く行くんだ。


話題豊富だし、明るいし、メッセージもきっと会ってみたいと思わせるような、魅力的なものなんだろう。


そして、次第に電話のやり取りになって、あの可愛い声なんか出されたら、相手は十中八九、茜を可愛い女の子だと想像するだろう。


そんなイメージのまま、ウキウキ気分でいざ、会って見たら……。


“詐欺だ!”と叫ぶ山田さんの姿が容易に想像出来て、なんだかドッと疲れが押し寄せた。


あ、そう言えば俺、ビールまだ飲んでない。


冷蔵庫からビールを取り出して、ようやく自分の身体にアルコールを与えてやりながら茜を見れば、奴はいつの間にか始まっていた“天空の城ラピュタ”に視線を映していた。


パズーがシータを連れて、海賊ドーラ一家から逃げるシーンだ。


「あー、パズーみたいな男、どっかにいないかなあ」


ポツリと呟いた茜の独り言が、何だか妙に悲しかった。





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