投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『rule【A面】』
【青春 恋愛小説】

『rule【A面】』の最初へ 『rule【A面】』 10 『rule【A面】』 12 『rule【A面】』の最後へ

『rule【A面】』-11

「こんな風に始まったものは、長続きしない。誰かを悲しませて始まった報いは、必ず自分にふりかかる......約束は約束。もう終わりにしましょう。」

そう。

わたしはルールに縛られる。

ルールを破れない。

もう、これ以上は。

涙が出そうになるのをぐっとこらえた。ここで泣いたら、終わりにできないから。

「好きだよ。」

泣きそうな声が上から降ってきた。

はじめて敬語ではない言葉がそれなんて...反則だ。

抱きしめられているため、顔は見えない。

ぎゅっと腕に力がこもった。

「知っているわ。」

その言葉に嘘がないことを。

でも...1番ではない、それだけだよね。

......あなたの1番が『彼女』だなんて悔しいから思わない。

けど、あなたの1番はわたしじゃなくて、あなた自身だよね。

わたしもきっとそうなんだよ。

わたしは、わたしを壊してまで、あなたの側にいることを選べない。

だから、離れなければならない......偽善でもなんでもなく、自分を守るために......

すぐにでもこぼれ落ちそうな涙と愛しさをこらえて、わたしは時田の唇に、唇を寄せた。

......これが最後のキスになるだろう。

ゆっくりと、黙って目を閉じた。



カチャリ。

小百合が家の扉を開ける音がする。

頭の中で祖母の声が木霊するように聞こえてきた気がした。



(終)


『rule【A面】』の最初へ 『rule【A面】』 10 『rule【A面】』 12 『rule【A面】』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前