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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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始動-6

 若菜は現場全体を見渡し、怯えながら岩に腰を下ろして水着の上にタオルを肩から掛け事情聴取されている女性2人を目にした。
 「山口さんだっけ?」
 「あ、はい!名前を覚えていただいて光栄…」
若菜は山口の言葉を遮るように言った。
 「あちらは被害者の2人??」
 「あ、はい…。」
 「ダメじゃない!男性刑事に事情聴取させちゃ!誰か女性署員はいないの??」
 「す、すみません。我が署には女性刑事は…」
 「そう。いい?レイプ被害にあった女性から正確な情報を多く引き出すには被害後早ければ早い程いいのよ。男性は女にとってどれだけレイプが辛い事なのかどこまで分かってるか知らないけど、時間が経てば経つ程情報が引き出せなくなるのよ。何でだか分かる?」
 「い、いえ…」
 「誰だって辛い事を思い出したくないでしょ?少しでも早く忘れたいという意識が生まれるの。忘れたいのに根掘り葉掘り聞かれた結果はもう忘れたいから放っておいて!ってなるの。だから過去になる前のまさに今の言葉が重要なの!覚えて置いて!」 
 「は、はい!すみませんでした!!」
深々と頭を下げる山口だが、とは言え女性署員がいない事には変わりはない。すっかり萎縮してしまった山口を見て結衣が言った。 
 「では私と石黒さんが変わって事情聴取してきます。」
若菜は結衣を見て即答する。
 「うん。任せたわ。」
若菜は瞬時に結衣の判断力の速さと確かさを見抜いた。サバサバし過ぎているマギーを外した事の判断だ。マギーは被害者心情を気にせずに聴取しそうな感じがする。被害者を逆なでしては引き出せる情報も引き出せない。若菜が指示を出しても同じ人選になっただろう。さとみは人懐っこいし、結衣は生真面目過ぎるが機転の聞く女性だ。その場に合った言葉で上手く対応するだろう。被害者の聴取は2人に任せて残りのメンバーは2人の男性の亡骸の方へと向かった。そこに到達するまでに付近にいる捜査関係者は全員若菜に向かい敬礼する。啓吾らNFPのメンバー達は自分に敬礼しているとは思っていないながらにも少し優越感を感じた反面、若菜の存在の大きさを改めて実感したのであった。
 「開けて貰える?」
 「はっ!!」
きびきびとした動きで死体に被せてあったブルーシートを取り除く捜査員。そこには頭から血を流し目を見開いたまま朽ち果てている男性2人の死体があった。血は砂浜をどす黒く変色させ、潮の香りに混ざり血の匂いが鼻をつく。動揺を隠し切れなかったのは啓吾と俊彦であった。思わず口を抑え視線を外し顔面を蒼白にさせていた。


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