耳たぶ-1
耳たぶ
金澤 祐希
「やっと二人きりになれたね」
ホテルのドアを閉めるとマンガのように壁ドン。少女マンガでも読んだことあるのかしら？
「オレ、メールやラインは苦手だから二人でに逢える日まで待ってたんだ」
祐希は四五歳のミュージシャン。作曲家でもありモータースポーツも得意だった。
本当かどうかは分らないけど、学生の頃はジャニーズにスカウトされるとこだったとか。
何時からか私は年上の男性に憧れていた。何人かの同級生や先輩と付き合った事はあるけど、快楽というのは程遠い幼稚なセックスしか経験していない。
池袋ですれ違った祐希は駐車料金を崩したいと言って私のお店に入ってきた。何でも聞けば女性モデルを探しているとか。
「素人が良いんた。プロはギャラが高いから」
そう言うと私の身体を舐めるようにジロジロと見る。
「わ、私は無理ですよ、スタイル良くないし」
「無理かどうかはオレが判断するよ。さあ行こう」
仕事中の私の事など全く考えていない。全てが自分通りにならないと気が済まないんだ。
私の手も握らず腕をグイグイ引っ張って早歩き
「ちょ、ちょっと祐希さん、もう少しゆっくり歩いてよ」
「時は金なりだ。急がなきゃ直ぐにババアになっちまうぞ。こうしている間にも時は流れているんだ」
その瞳にやられてしまった。普段は冗談ばかり言っている祐希も仕事の話になると真剣な眼差しになる。
「いいか、十九歳のオマエはもう戻って来ないんだ。ホテルは用意してある」
出会ってから数分なのにホテルを予約してあると言う。
私は裸を撮られるのか抱かれるのか分らないままドキドキしながら強引にホテルに連れていかれた。手慣れた手つきでフロントを滑り抜け
七〇七号室のドアを開けた。
「実は前から君を見ていたんだ。二人っきりになりたかった」
えっ？
写真撮影というのは嘘なの？
私は動揺を抑えきれないまま、ただ祐希の瞳を見つめるしかなかった。
「そんなに緊張するなって」
祐希は私の顎を指先で掴み優しく微笑んだ
そのままキスするのかと思いきや祐希は私を見つめているだけ。柔らかい笑顔でじっと私を見つめる。時計の針を見たとき、既に見つめあってから一時間が経過していた。
祐希はいつも私の眼をじっと見つめる
「言葉は勿論大切なツールだよ。でもね、眼は口ほどに物をいうと言うだろう」
そう、それが祐希の口癖。
「言葉を交わさなくても相手の瞳をじっと見つめれば相手の気持ちが分かるんだ」
私は祐希に３０分以上見つめられていた。
その頃から私の身体は高揚し心臓の少し左側にある「心」が心地よい気持ちになっていた。
しかし、その１０分後から私の身体に変化が現れた。
子宮がジンジンとしてきて少し花蜜が滴り落ちるのを感じている。
また、キスもしていないのに・・・祐希には気づかれたくない。
ゆうきは頬を私に近づけてきた。触れてはいない。唇を耳元に運び熱いと息を吹きかけた。
「あッ」
思わず声がでてしまう
祐希はそのまま耳の後ろ、首筋へと優しくキスをしてきた。
キスされる度に私の花芯に小さな稲妻が落ちる。
そうして私の鼻先にキスをしてきた。
私の瞳をじっとみつめ
「キスしたい？」
私の花蜜はすでにあふれ出していた。自分でもわかるほどに。
敏感になった私の身体。祐希は私の両肩をつかんだ。
「もう少し見つめあっていいかな。言葉は無くてもお互いの事、すでに理解しているよ」
私は高揚し赤くなった顔のまま小さく頷いた。
両肩を掴み、再び祐希は私を見つめる。
見つめられる度に私の花芯に今度は大きな稲妻が走る。
私は小刻みに震えていた。
「どうした？怖いのか？」
怖いのではない。身体が興奮に耐えられなくなってきたのだ。もっと触れて欲しい。
祐希は相変わらず瞬きもせず私を見つめている。
触れられてもいない私の花芯はすでに敏感になってジンジンしびれてきた。
祐希は私の頬にキスをしてきた。そして再び鼻先にキスをしてこう言った。
「男と女で最も重要なのはキスなんだ。セックスはその後についてくるオマケみたいなもんさ」
そういって私の唇に優しいキスをした。
私はその時に軽くイってしまったのかもしれない。声を抑えるのが必至だった。
再び祐希は私を見つめるとこう言った
「みんなイクというのは直接花芯に触れたり、挿入したりして感じられるエクスタシーだと思っているけど、実際はね、相手の身体に触れなくてもイクことは出来るんだ」
私はそんな話は誰からも聞いた事がない。
なのに私はさっき軽くイってしまった。
「キスしてください」
私は過去に自らその言葉を発した事が無かった。
祐希は微笑んで私を見つめるだけ。
やめて、その優しい笑みで私を見つめるのはやめて
「我慢しなくていいよ」
我慢って何を我慢しているとおもっているの？
もうだめ、我慢できないキスする前にイってしまいそうだった。
「すべて分かっているよ。みててあげるからイってごらん」
わかってたんだ。なんか悔しいけど身体はもう言う事を聞かなかった。
「ゆ・ゆうきさん…イ・イクね」
祐希は笑顔で優しく頷いた。
私は見つめられたまま、そう何か見えない何かにつつまれたまま
「イ・イクっ」
その瞬間に祐希は唇にキスをしてきた。
わたしはビクッビクッとからだを痙攣させている間も祐希は唇を離さなかった
祐希はキスをしながら痙攣している私を抱きしめていてくれている。
既に時計の針は２時間を超えようとしていた。