NFP-1
警視庁総監から託されたプロジェクトの名はNFPと呼ばれる事になる。No Face Project…、決して顔を持たない組織という意味である。あってはならない存在、だが法律の壁を乗り越えて今まで警察が届かなかった場所へと足を踏み込むべき結成された秘密組織だ。その全てがある一部の人間を除いて存在すら知らない。決して明るみには出てはいけないプロジェクトだ。
その打診を受け快諾した時に若菜はプロジェクトの名前をLGP、すなわちLady Gun Projectにしたがったが、総監はそれを棄却した。その名前がもし世に広まった時に勘のいい人間ならすぐさま若菜を想像できてしまう事を避けての判断であった。そのNFPの特殊性を考えると総監の考えも理解でき、その名前に固執する事なく若菜は受け入れたのであった。重要なのは悪の根源を消滅させる事であり名前は大きな問題ではない。若菜の反論を密かに恐れていた総監も少し肩透かしを食らったかのような表情を見せた。
ある日の午後、千城県県警本部長の佐藤幸一が特命捜査対策室へ赴いた。
｢新配属になった者、今から会議室でミーティングを行う。いいな？｣
｢はい。｣
若菜とともに新しく配属された刑事達が立ち上がる。もう一度紹介しよう。新配属=NFPのメンバーである。正式にNFPが始動するのは予め今日だと聞いていた。当事者達だけには何のミーティングなのは予想出来た。若菜を先頭に列を成して会議室へと向かった。
会議室の防音設備は完璧である。中の声はおろか物音すら外に漏れる事はない。全員が中へ入ると鍵がかけられた。佐藤を上座にしてそれぞれ席に着く。
中垣結衣・25歳
優等生タイプで笑うと愛嬌がある女性。本人はそういうつもりはないが、近寄り難い雰囲気があると言われる事が多い。性格は至って真面目。クソがつくほど真面目だ。冗談も真に受けてしまう、そんな女性だ。
石黒さとみ・27歳
動物に例えるなら猫。愛嬌溢れる容姿と性格は男心をキュンキュンさせてしまう小悪魔的な女性だ。しかしその可愛らしさを利用し世間を上手く渡る能力はハンパない。そんな女性だ。
菜月マーガレット（マギー）・28歳
父はイタリア人、母は日本人というハーフ。通称マギー。クールビューティを絵に描いたような女性であまり人との会話を求めない謎の多いどこか陰のある女性だ。
金田卓哉・27歳
曲がった事の嫌いな正義感溢れる男性。イケメンだがそれを自分では全く気付いていない真っ直ぐな人間。
吉川啓吾・24歳
チャラい。とにかくチャラい。
近藤俊彦・29歳
顔は二枚目、性格は三枚目的な男性。ただし異常なまでの正義感は金田以上だ。夢中になると真っ直ぐしか見えなくなる欠点があるが、常に周りを明るくするムードメーカー的な存在。女性にはもてる。
これがこれから若菜と任務をともにするメンバーであった。