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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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おかえりなさい-2

「良いね良いねっ!へぇーアイツの癖に…結構考えてるんだね。」
「はい、とても嬉しかった。」

鋭い響きを立てて空気を裂き、この日も白衣と胴着を纏った弓道部達が練習に励む。

「昔はとっても鈍感で私も頭が痛かったぐらいなのに…。きっとそれだけ本気何だろうね
大切な人の為に努力しようと、変わろうとしてるんだ。」
「ふふ…、でも私だって彼を大事にしたいです。」
「…あーあぁ、蓮の奴…今頃どうしてっかなぁー。」

思い想いに彼の部室を眺めて。

「早く帰って来ると良いですね。」
「いやいやー、向こうで頑張ってこいっ!って感じ。」

彼女もまた一条君を愛している、彼女がどんな思いで彼を見送ったか、そして彼の居ない
寂しさからあんな事までしてしまうくらい。

「本当に、寂しくないの?」
「くどいぞー、私の事は良いから練習に励んで欲しいわ。」
「巴…ちゃん。」

笑顔に見える寂しくも暗い横顔に胸がひしひしと痛む。

「あっ、伊吹先輩!」
「やぁーやぁー十和田君、今日も精が出るねぇー!」
「一条先輩、もうじき帰って来ますね。」
「別にっ!寂しくなんかないんだからねっ!」
「そっかぁー、なら大丈夫ですね。」
「?大丈夫って…何が?」
「実は、さっき彼から電話があって、もう一週間延長しようかなーって合宿グループの人たちで話し合ってたみたいで。」
「延長?!」
「はい、向こうでの上達具合が中々で顧問の先生がこれはチャンスとこの機にぐんぐん腕
を伸ばして行こうって。」
「……。」
「あ、あのあのっ、それってもうー決まった事なんですか?」
「いーや、部員皆で話し合って決める見たい。」

あからさまに体が震え、開いた口が塞がらない彼女。

「い、伊吹先輩?」
「あ、あはは…。そっかそっかぁ。うん良いんじゃない!めきめき腕が上がるんだったら
何だったら一生向こうに居ればいいのよ、うん!」

不器用なくらいの作り笑顔。

「ねぇ、体育館でちょっとバレーしようよ。」

逃げるようにこの場を去る彼女。

「やっぱ健気だなぁー。」
「!…、違いますっ!彼女は。」
「あぁ、分かってる。」
「え?」


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