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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴と若葉-8

いつ以来だろうか…、授業が終わって誰かと寄り道する事無く、真っ直ぐ帰宅する何て。

「……。」

外はバケツがひっくり返るような凄い雨。

最近元気のない私を見て、お爺ちゃんも心配していた…。けど今は放って置いて欲しい。

風馬君が帰り図書館に寄らない?って言い寄って来て。だけど今回は断った。それに対して目を見開き驚く顔を見せてた。よっぽど自分の企みが効果あると過信してたんだろう。
想定外の返答に少し苛立っていた。

「どうして?」とあからさまに不機嫌そうな言い草に私はこの天気をダシにした。

「凄い雨だから今日は遠慮しとく」と…。

窓を見て、バツ悪そうにこの日は諦めてくれた。故にこの雨には感謝している。

お蔭で今日は風馬君と一緒に過ごさずに済んだ。正直彼と居ると苦痛だ、あんな形で自分
だけ悪知恵を働かせて目的を果たしたような人と…、誘われる度グイグイ来るのも嫌だ。

転校してきた時は、友達の少ない私にとって何て幸運が訪れた、また会えて嬉しいって
思ったのに。今じゃその友達を奪い、自分の目的だけに近寄るうっとおしい人。

…どうしてこんな事に。

そんな彼から今日は解放されて嬉しいけど、今度は苦しい孤独感が押し寄せて。

風馬君がしつこく「家まで送るよ」とか言って来たけど強気に断って。

学校に行けば彼にしつこく言い寄られ、しかも周りの人達も私と風馬君が付き合って居る
と思い込んでいて、風馬君何かの背中を押したりして。運良く彼と付き合わずに済んだと
しても、それはそれで孤独感に苦しめられ。

学校が終わっても、私は一人だかれ何処かに遊びに行ったりも出来ず、不運な時は家で
大人しくしてる私の所に彼が押し寄せて来たりもして。お爺ちゃんも今私と風馬君が
どんな関係なのか知らないせいで軽々しく嬉しそうに彼を取り次いで。

こんな生活、いつまで続くの?

……。

もう、嫌だ。

「おーい!若葉ぁー、お客さん!」
「!!」

下からお爺ちゃんの声が。えっお客さん?…。まさか。咄嗟に嫌な予感が脳裏によぎる。
風馬君だ…、きっと彼がまたしつこく。彼との図書館を断った時、あからさまに不機嫌で
物足りなさそうな顔をしていた、一緒に下校するのも強気に断ったし…。

「どうしたねっ!客人待っとるぞい、お前のお友達。」
「……。」

返事がないから、態々やってきたお爺ちゃん。違う、あんなの友達何かじゃ。

「元気ないぞ、何かあったか?」

心配そうに私の顔を除く。

「……居ないって言って。」
「え?何言ってんだ、お前。」
「お願い!」
「……。」

分かってくれたのか、何を言うでもなく部屋を後にする。

「あっ、でもやばいな、客人が何か…不気味に突っ立ってるから、いつも常連が通ち過ぎたな…。」

えっ?

「まぁ、明日にでもまた来るだろう、なんせ常連だし。」

扉の向こうから聞こえるお爺ちゃんのぼやき。

その客人が黙ってこの雨の中ずっと突っ立てるせいで、店の常連客が少し怖がっていつもの買い物をしないって?

じゃー私が我儘したせいでお爺ちゃんに迷惑を…。

……。


「若葉?いいのか?」
「…ゴメンお爺ちゃん、迷惑掛けちゃって。」
「いや、わしは別に。」

重い腰を上げ、だるい足取りで下に降りる。あんな人の身勝手で私だけじゃなく何も関係
ないお爺ちゃんが巻き込まれる何て、耐えられない。

私は意を決し、ツカツカとその客人の所に行く。

「もうっ!本当にいい加減にしてっ!!こんな時まで押し掛けて!」
「……。」
「えっ?」

しかし私を待っていた客人は私が思っていた人ではなかった。

「巴…ちゃん?」
「若葉…。」

その顔はボロボロになったチワワのように悲しい顔に涙目。それに何を思っていたのか
顔も髪も雨でぐしゃぐしゃ。





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