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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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卒業のその後に-2

星司の落ち込む姿を見る陽子も、また塞ぎ込む日々を送っていた。

「あたしのせいで…」

失踪の前日に、悠子に取った自分の態度を思い返し、幾度となく反省を繰り返していた。

陽子にとって悠子は、愛する星司の恋敵だったが、それ以上に大切な親友だった。陽子と星司との姉弟間で、将来にわたって恋が成就する事はあり得ない。それを理解しながらも、悠子を傷つけてしまった陽子は自分が許せなかった。

「星司のために戻って来てよ!」

感極まった陽子は声に出して叫び、ベッドで顔を伏せて咽び泣いた。

そして、何も進展を見せないまま日々は過ぎ、星司、悠子、陽子の三人は卒業の日を迎えた。



悠子が卒業式を欠席する事は、式の数日前に雄一の元に知らされていた。雄一はそれは直ぐに星司と陽子に伝えた。若しかしたら、卒業式で会えると思っていた2人は落胆した。

悠子の居ない卒業式に星司と悠子が出席する事は無かった。本来ならば晴れやかな場所で卒業を祝うはずの2人が、それぞれの部屋で悶々とその時間を過ごしていた。

「お手紙が届いてます」

その日、2人の元にそれぞれ一通づつの手紙が届いた。

【各務星司様】そして【各務陽子様】

それぞれ宛名の記された2通の手紙を持った家政婦は、初めに星司の部屋にノックし、憔悴しきった星司にその手紙を手渡した。星司はそれに触れた途端、ビクンと反応して差出人も見ずにその名を漏らした。

「悠子…」

手にした封筒を慌てて裏に返して差出人を確かめた。そこには住所の記載も無くただ【悠子】とだけが記されていて、手紙を持つ星司の手が震えた。

「大丈夫ですか?」

心配した家政婦が星司に声を掛けた。

「えっ…、ええぇ、大丈夫です。あ、ありがとうございます…」

心配顔で見つめる家政婦の視線から逃れるように、星司は震える手で扉を閉めた。

家政婦は同じように、陽子の部屋をノックし、陽子にも悠子からの手紙を手渡した。奇しくもこの時の陽子の反応は、言葉の端々まで星司と全く同じだった。

役目を終えた家政婦は、閉められたその扉を見ながらつぶやいた。

「悲しい表情も同じだなんて…」

別々に手渡したにも関わらず全く同じ2人の反応に、この姉弟を愛する家政婦は悲しくなって顔を俯けた。

携帯電話が普及するこの時代、親しい者から手紙を受け取る事はとても特別な場合だろう。それが吉報をもたらすものならばいいが、それとは限らない場合もある。待ちわびた悠子からの連絡がこの形を取られた事に2人は戸惑いを覚えた。

差出人の住所の記載の無い事が引っかかり、2人の心は暗澹たる想いで占められ、受け取った手紙を前にして、しばらく開封する事を躊躇してしまった。

しかし、このまま手紙を前に躊躇していてても仕方が無い。意を決した2人はそれぞれの部屋で手紙を開封した。

【拝啓、大好きな星司くん】そして【拝啓、大好きな陽子ちゃん】の書き出しで始まるそれぞれの手紙は、とても長い手紙だった。

突然の失踪を詫びた後、星司には星司の、陽子には陽子の、悠子との過去のエピソードが記され、その都度に頼りない自分を支えてくれた感謝の意と、その時に受けた感動が書かれ、2人の姉弟の事を、悠子がどれだけ大切に思っているかが綴られていた。


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