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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 数学・論理 〜-2

 図形の合同や相似に始まり、確率、整数問題、無限級数、極限と、多種多用な命題の真偽を証明する中で、自然に論理的思考が身についてゆく自分が嬉しかったのを覚えている。

 『殿方は劣等な対象に対し、最適な行動をとる』
 『殿方が劣等な対象に対してとる行動は、劣等な対象にとっても最適となる』
 『殿方が劣等な対象に対してとる行動は、劣等な対象には理解できない』
 『殿方が劣等な対象に対してとる行動は、劣等な対象にとって最適とは感じられない』
 『殿方は、劣等な対象が望む行動をとる必要はない』

 ただ、自分の進歩を喜ぶ半面、論理の冷酷さも身に染みた。
 これらの命題を論理式で記述したとき、常に答えは『正』と推論された。 そこには直勘も感情も入り込む隙がなく、私は自分自身に構築された論理回路を前にしては、感情を押し込めるしか術がない。 自分が感情レベルで間違っていたと知ることは、辛いと思うこと自体間違いなのだが、やっぱりどうしても辛さで胸がズキリとした。

 私たちは『メス』であり、『牝』であり、『雌』であって、『♀』でしかない。 すべてが『真』だ。 
 社会的には最下等の存在で、さまざまな原罪と背負っており、しかも自分達の立場を理解しない傲岸さを備えている。 せめて最下等に相応しく振舞い、折に触れて贖罪(しょくざい)し、自分達の価値を正しく理解する。 これが学園生活の主要な目的の1つだとすれば、学園に不満をもつことが『偽』になる。

 そうはいっても、私たちは今まで幾つもの事柄が腑に落ちなかった。 マスターベーションすることが自分達に相応しいのだろうか? 相応しいとして、学園で要求される水準の過酷さをクリアしなければいけないんだろうか? 優秀でないなら、何をされても我慢しなければならないのか? そもそも、私達は優秀ではないんだろうか? なる見込みもないのだろうか?? 

 溢れそうになる疑問を心の奥に沈め、表面上は納得したような顔をして、私たちは学園生活を過ごしている。 22番さんや、30番さんは分からないけれど、少なくとも私は納得していない。 というか、納得しようと頑張ってみたけれど、結局自分は騙せなかった。 納得していないと判断されれば、それ自体が不遜の極みと判定され、更なる指導が待っている。 悪くすれば有無を言わさぬ補習室送りになる。 だから、疑問に思うことから一時的に逃げることしかできなかった。

 一時逃げたとして、疑問の種がつきるわけじゃないし、解決も消化もできていないから、次々不安が湧いている。 学園が施すカリキュラムの詳細は、私達には分からない。 だから判断しようがないのだけれど、仮に生徒に対する処遇に線引きがあるのなら、どこまでが可能でどこからが不可なのか。 また、その基準は何なのか? 誰も知らないし、知ることもできない。 私の心境を例えれば『無言で四方から迫る壁を見ないよう、部屋の中心で目を閉じる』といったところだった。

 17号教官と過ごす数学の時間には、こういった一見したところ解決不可能に見える疑問に取り組むきっかけが、そこかしこに散りばめてあった。 論理的に『牝』である私達が劣等な存在だと証明できれば、自分達が置かれた処遇を受け入れられる。 記号論的に『殿方』が優秀だと定義できれば、自分達を支配する存在に納得できる。
 
 ……一瞬、この『数学』に名を借りた思考自体が、罠のような、洗脳のような気もしたけれど。 けれど、17号教官という、数少ない私達の味方な教官がいうのだから、間違っているとは思えない。 疑うことすら僭越だ。 なにしろ17号教官は、私達が足許に及ばないくらい優秀で、殿方と一緒に机を並べた経験もあり、私たちに普通の物言いも許してくれて――要するに、とびきり素敵な人なんです。


 ……。


 『殿方』は優秀。 裏を返せば私達『牝』は劣等。 数学的にも真とされた数々の命題設定。
 そんな命題がいくつも重なるうちに、心のどこかでずっと大事にしてきた反発――私達だって価値があり、マスターベーションに耽(ふけ)るだけの存在ではない――は薄れ、いつの間にか事実を事実として受け入れつつある自分がいた。 




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