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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 数学・計算 〜-3

「100+10+1000です。 ここまで身体で覚えなさい」

「「はいっ!!」」

 針を脇の中心にピッ、手の甲をツン、ペロッと伸ばした舌をチョン。 教室中のあちこちで、全裸のまま針で自分をつつく光景。 私も例外ではなく、おっかなびっくり身体をついた。 思ったより痛くない。 

「さらに、200+2+20です。 ここまでどうぞ」

「「はいっ!!」」

 今度は『2』だ。 脇をさっきより気持ち半分強くつつき、指の腹をチョイ、手の甲をチョイ。 さっきの刺激が身体に残っていて、身体の芯がかすかに痺れる。 皮膚感覚に集中し、新しく加えた刺激を合わせて合計数字を身体でイメージするには、この痺れを忘れてはいけない。 さっき突いた針の余韻を意識しつつ、新しい刺激を上書きしてこそ、肌珠算が成立する。 脇をつつこうとする針、手の甲を強めにさする針、いずれ乳首を、そしてクリトリスを針で撫でる時がくる。

「……ッ」

 一瞬、自分で自分を客観視してしまった。 真剣な面持ちで針を摘み、頭ではなく身体の感覚で計算こなす。 そういえば聞こえはいいが、やっていることは全裸で全身を猛烈な勢いでつつきまくる。 乳首を、乳房を、脇を、鼻を、伸ばした舌を。 その行為自体を表現するとすれば、間抜け以外に思いつかない。

「……」

 止めよう、想像することは。 私にとって何の足しにもなりやしない。 

 そのうち膣とクリトリスにも手が伸びる。 計算するという名目で、私は待ち針で股間を連続して突くことになるんだろう。 ボタンを連打するように、算盤をビシビシ弾くように。 私たちは、いずれクリトリスを烈しく上下左右に弾きながら計算するようになるんだろう。 

 
 ……。


 除算、所謂割り算の練習は『10かける10』の『百マス方眼紙』で徹底した。 空白には『左マス』と『上マス』を掛け合わせた数字をいれる。 それを繰り返し、まず百マスを掛け算による結果で埋め尽くす。 ここからが除算練習の本番で、各列(横のライン)の右下端にできた数字を、左端の数字で割ってゆく。 続いて上端の数字で更に割る。 もう一度左端の数字で割る。 更に上端の数字で割る。 もう一度……という具合に左端と上端の数字で10回ずつ割ると、答えは必ず『1』になる。

 この計算過程を、100マス方眼紙1枚あたり、5分でこなすのが第一段階だ。 最終的には1枚1分がノルマだといわれ、私達は血の気を失った。 なにしろ一番解くのが早い9番さんでさえ、最初の1枚に15分が掛かったのだ。 ちなみに数学が得意な筈の私は、掛け算の時点で計算を間違えており、途中から崩壊。 呆然自失の有様だった。


 ……。


 計算練習を通じ、私たちはたくさんのことを学んだ。 その中でも特筆すべき事柄が3つある。

 1つは、私たちはみんな優秀な生徒ということ。 他の授業では性欲を持て余した愚かで不細工な存在として振舞っているけれど、いざ通常の授業を提供してもらった時には、みんな頭の回転が凄く早い。 少なくとも幼年学校時代の同級生には、今のクラスメイトほど計算ができる人はいなかった。 暗算でここまで複雑なものをこなせるのだから、数学という枠を飛び越えて、賢いことは確かだと思う。

 もう1つは、17号教官が本当に、本当の本当に優秀な方という事実だ。 100マス割り算を実演してくれたのだが、私たちが適当に作った問題用紙――代表して委員長が縦と横に数字を並べた紙――1枚を解くために要した時間は、ものの1分に満たなかった。 驚嘆する私達に構わず、教官がもう1枚解いてみせるといった。 次に代表して副委員長が問題用紙をつくった。 今度は全ての数字を『3桁』にした、とびきり難しい問題用紙だ。 なのに、教官は筆記具すら使おうとしない。 おもむろに副委員長に『適当にマスを言いなさい』という。 副委員長は『上から4マス、右から2マス』と、どぎまぎしながら指定した。 私にマスを指定させた。 教官は5秒ほど紙を眺めてから『104456923844456』と黒板に書く。 私たちは自分達で教官の答えを検算した。 私が検算を初めて10分以上かかって辿り着いた答えは、教官が5秒で到達したまさにその答えだった。

 最後の1つは、私が学園を見る視点が変わったことだ。 今まで世界全部が敵だったのが、たった1人でも優しい大人が近くにいる。 私達に厳しいけれど、理由をもって厳しく接してくれる凄い教官が近くにいる。 あれだけ不条理で酷く見えた先輩にだって、優しいところが、実はあった。 ならば学園の教官にだって、同じことがいえるんじゃないか。 もしかしたら教官にだって、私達に近い部分があるかもしれない。 

 学園は希望が一切ない世界じゃないのかもしれない。 灯があったとしても、気づきにくいだけの世界かもしれない――そう一瞬でも思えたことで、私は前を向けそうな、そんな気がした。 


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