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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 国語・演劇 〜-2

 話は進み、大名屋敷。 古太鼓が予想に反して大金で売れる場面だ。

「どうもその方の値段がわからんが、ふむ、300金ではどうだ……え?……だから、300金だ……300金? どんな金です?……分からん奴だなその方は。 小判で300両と申して居る……本当の小判?……本当の小判だ。それでどうだ……うう〜〜、勿体のうございます」

 ここで感動のあまり涙する演出だ。 腕に顔をおしつけ、嗚咽を押しころす。 スッと腕を股間になぞり、おマン汁をすくって顔につける。 涙ぐんで濡れた顔を、おマン汁でもって表現する。 幸い自慰トレーニングの効果もあり、私たちの股間はいつでも湿らせておくことができる。 バランスさえ崩さなければ、深く腕を股間にめり込ませることで、汁なんていくらでもまぶせるようになった。

「泣いておるな、どうだ、売れるか?……売れます売れます、う〜っ、ありがとうございます……売るか、そうかそうか、では領収を書け……領収書、いりません……馬鹿者こっちがいるのだ、かけ……へい、こんなもんでどうでしょう……うむ。判をおせ……判のもちあわせがございません……爪印でかわまんぞ……じゃあ、ここと、こっち、こっちの方にも……これこれ幾つ判をおすつもりだその方は」

 教官が見つめる中、両手で右の乳肉を搾り、乳首を乳房から際立たせる。 爪印を押すとは、つまり『三文判』を押すということだ。 判子とは、私達にとっては朱肉を塗った乳首が該当する。 
 下半身を動かさずに乳首で判子を押す仕草は極めて難しい。 上半身を床に近づけるとどうしても倒れてしまうため、乳肉を搾って乳首を真下に向ける。 その上で上半身を上下させ、書面に判子を押す仕草だ。 過去何度もこの場面で倒れてしまったが、訓練の成果で、どうにか判子を複数押す表現をやり遂げることができた。

 教官は特に何も言わない。 ということは、先へ進んでもいいということだ。 場面は主人公が太太鼓をうった代金を持ち帰り、家族が値段に仰天する段にうつる。

「この小判をみて、ビックリして座りションベンして、バカんなっちゃ承知しねえぞ……いいから早くお見せなさい……いいか、まずは50両だ。これが50両って小判だ……あらま、ちょいと!……お次で100両だ……あれ〜、100両!……それ、150両……も、もっと見せとくれ!……200両だちくしょうめ……ああ〜……もう少しの我慢だ、250両……あらまあ、ちょいと、お前さんは商売が上手……当たり前よ、ほれ、コイツで最後の300両だ……み、水を一杯」

 水を呑む場面の再現だ。 両手を合わせて『手碗』をつくる。 たくさんの液体を溜められるよう、指同士をビッチリ詰めて、掌同士をきっちり重ねる。 その上で拡げた股間に宛(あて)がうと、スウッと浅く息を吸い込み、

 プシッ、ショロロ。

 股間の筋肉を弛緩させる。 瞬間、飛沫とアンモニア臭。 けれど解放感に浸れはしない。 すぐさま括約筋を全縮させ、開きかけた尿道を締めつける。 丁度掌に収まる分だけ放尿するという、この落語の中で最も困難な演出だ。 ただでさえ蹲踞の体勢を長時間とりつづけた下半身は、筋肉痛で震えている。 頭の中は落語の言葉が渦巻いて、体の隅々にまでは意識がいかない。 そんな中で零すことなく掌一杯の小水を調節できるようになるまでに、何度トレーニングを繰り返しただろう。 利尿剤と大量の水を呑んでは放ち、止め、零し、舐めて掃除し、また放ち……。

 あくまでも驚いて息も絶え絶えな表情を保ちつつ、小水が完全に止まったことを確認してから、手のお椀を口に運ぶ。 

 ゴク、ゴク、ゴクリ。

 喉を鳴らし、大きな音をたてて呑むのが演出だ。 単に喉を鳴らすだけではなく、最後の一滴まで啜り、舐める。 掌から小水が教壇に飛び散らないよう、顔を拭う振りをしつつ、手についた小水を腕になすりつければ、落語はいよいよ『サゲ』の段だ。

「儲かるねえ。商売はこれからは音のするものに限るよ……今度は半鐘を持ってきて叩こうか……あんた半鐘はいけないよ。『オジャンになるから』……」

 落語の終わりは平身低頭、観客に御礼をいうのが本来の型だ。 しかし、下半身を固定した私達には、どうしたって額を床につける礼は出来ない。 そこで別の形式をとる。

「……」

 両手を後頭部にあて、より一層股間を開く。 溜めた力を腰に落し、肛門括約筋に意識を込めて、

 プスゥ……プウッ。

 自分が奏でることが出来る天然の音、即ち放屁音でもって、礼ができないほどはしたない自分を明らかにする。 逆説的だが、それによって、礼の代わりと見做してもらう。 落語開始の前にシリンダーで500mLばかり空気を肛門に仕込んでおき、落語の間中、ずっと肛門を締めて抑えていたオナラだ。 勢いを込めて『身』が出てしまえば非礼極まる態度になる。 どうにかしてスカしたオナラを、それでいて耳には届く音色を奏でねばならない。 水を呑む演出時の尿同様、本来生理現象であるオナラを『サゲ』に合わせて使用することは容易ではないが、私達にとって排泄もまたコントロールすべき対象だ。 できない、なんて許されない。 

 プヒッ。

 必死の我慢を重ねた結果、最後にもたらされた破裂音。 私がこの音を出すためにどれだけ頑張ったか考えれば、消えたくなるほど恥ずかしい。 けれど、そんな感情をだすわけにいかない。



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