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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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ロイクの企み-5

俺はティエラとは城に着いて以来会っていなかった。
城に着いた途端、召使いたちにさらわれるようにあいつは城の中に入って行ったからだ。

すぐに王がやって来た。
でもあいつ、ティエラは死んだと死体を見せて来やがった。
硝子の棺の中には俺が森で会った時に、
ティエラが身にまとっていたドレスを着た少女が、横たわっていた。

最初は本当にあいつかと思った。
でもあんな無邪気に走り回っていた女がすぐ死ぬのか?と俺はすぐ疑った。

ふと思い出した。
あいつが俺に指輪を差し出した時、右の掌に並んだホクロが二つあったのを・・・。


俺は棺を開け、硬くなりはじめた掌をこじ開ける。
ホクロはなかった。

こいつはティエラじゃねえ。
俺はそう叫んで、王宮にいるやつらをめった刺しにした。
俺の仲間も加勢した。

王宮にいた軍隊は見かけ倒しで、俺たちはあっという間に城にいた全ての人間を殺した。
俺がこの王国を滅ぼした。

全てが終わった後、俺はティエラを探したが、どこにもあいつはいなかった。
跡形もなく消えていた。
死体の山も何回も確認しても、あいつはいなかった。

王が逃がしたんだろうとすぐに気がついた。

それから俺たちはこの城をアジトとしてティエラを探すことにした。
あいつを探し続けて16年・・・やっと見つけた手がかりは、
サミュエルが持っていた象牙のペンダントと、お前だ。」

ロイクはティアラの目を見つめながら言う。

「本当にお前は知らねえのか?ティエラの行方を。」

「・・・知っていたらここには来ません!
でも、確かにお母さんはあなたたちにさらわれたのよ!!!
私のお父さんや村の皆を殺して・・・。」


ティアラは抗議する目で、キッとロイクを見る。
目の前に憎い相手がいる。許せない!と怒る気持ちでロイクを睨んだ。

しかしロイクはそんなティアラの気持ちが伝わらない。


「俺はあいつを必ず見つけ出す。・・・あいつは俺の女だ。」

「なっ、何言ってるのよ!お母さんはあんたなんて好きじゃないわよ!!!
あんたみたいな人殺し、好きになるはずないじゃない!」



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