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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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待ち人-7

サミュエルはティアラを見るなり、いつもより鋭い目つきになった。
怒鳴られる!そう思った彼女はギュッと目をつぶったが、
彼は何も言わずに自分の着ていた上着を脱いでティアラの肩にバサッとかけた。


「あいつらに突っ込まれたのか?」


ティアラは彼が言っている意味が解らず、きょとんとしていた。
それを悟ったサミュエルは、言い方を変えて聞き直す。


「処女を奪われたのか?」


涙目になりながら、彼女は首を振った。


「・・・・ならいい。手間をかけさせるな。行くぞ。」


そう言って、ティアラの手を引いた。
初めて握った彼の手は、暖かかった。

ティアラはサミュエルに会えた安心感で、泣き出してしまった。


(私を助けてくれた・・・。戻ってきてくれた。)


「泣くな、鬱陶しい。」

彼女は泣きながら、なんとか彼にお礼を言った。

「・・・あり が  とう・・・。」

彼はティアラの手を握ったまま、仲間が待つ場所へと歩いて連れて行こうとした。

そこでティアラは気がつく。
もう覆面もしていないし、サラシだって巻いていない。
女だってばれちゃう。

どうするつもりなんだろう・・・?


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