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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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待ち人-1

ティアラはしばらくその場に、指さえ動かせずに立ち尽くしていた。
すぐそばには、さっきまで生きていたサミュエルの仲間が、
死体となって横たわっている。

血の匂いが充満して、吐き気がする。
父親が殺された時の事を思い出してしまう。
あの時の恐怖の光景が今もなお、彼女の脳裏に焼き付いて離れない。


(ここにはいられない・・・。)


そう思って、もと来た道を歩いた。
サミュエルの仲間たちが水浴びをしていた大きな泉にたどり着くが、
そこにはすでに誰一人といなかった。

本当に置いて行かれたんだな。
彼女はそう実感した。

誰もいないからもう必要ないと思い、彼女は鬱陶しい覆面を外した。


(どうしよう、どっちの方角に行けばいいんだろう。)


ふと地面に目を落とすと、
馬の蹄の後がくっきりと、土についていた。
サミュエルたちが向かった先がわかる。
この跡を辿れば、父親や村の皆を殺して母親を連れ去った盗賊たちの、
住処にたどり着くはずだ。

まずはこれを目印に、歩いてみよう。


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