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“魔”の代償〜狙われた人妻事務員〜
【熟女/人妻 官能小説】

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接近-10

 紗英はアルコール混じりの溜息をつきながら不意に言葉をこぼした。
 「はぁぁ、一晩中エッチしたいなぁ…」
酔いもあり、普段では絶対に口にしない言葉を言ってしまった。自分の言った言葉に恥ずかしさを感じた。しかしそれを冷やかさない健太郎に救われる。
 「たまにそんな気分になるよね。」
冷やかすどころか共感してくれる健太郎に紗英の判断力は鈍る。口から出る言葉はどんどん下っていく。
 「丹野さんはどんな時そういう気分になるの?」
健太郎は少しは考えてから答えた。
 「そうだなぁ…。よほど溜まってる時か、よほど抱きたくて仕方がない女が現れた時かなぁ…。」
 「そうなんだ…。そうゆうのって男も女も同じだね…。」
一晩中エッチしてみたいと言った紗英がそういう気分になる理由を男も女も同じと言った事に健太郎は手応えを感じた。
 (て事は藤間は今、よほど溜まってるか、したい男が現れたって事だな。コイツ、完全に俺を意識してるな。)
粘れば今夜にでも紗英を抱ける自信があった。しかし焦らないと決めている健太郎は急がない。紗英の性をもっと引き出す道を選ぶ。
 「まぁ、セックスしたくなる時って人間なら同じだろうね。」
ここで初めてセックスと言う単語を登場させた。今まで露骨な単語を使わなかった健太郎の言葉にドキッとしたが、自然な流れの中でのその単語は、若い男子が騒ぎながら口にする響きとは違い、大人の会話的な印象を与えた。サラッとセックスと言う単語を使った健太郎が大人に思えた。 「藤間は一人でしないのか?」
 「えっ…?ひ、一人でって…」
健太郎はまたも平然と言う。
 「オナニーだよ。藤間はオナニーしないのか?」
日常会話のように普通に話してくる健太郎にドキドキする。もしかしてこういう会話は一般的に普通なのと思ってしまいそうなごく普通の口調に紗英は動揺する。
 「し、しないよ…。」
 「しないんだ。じゃあいやらしい気分になって収まりつかなくなったらどうするの?」
 「そ、それは…我慢…する…。」
健太郎はわざと意外そうな表情を浮かべて聞いた。
 「マジ!?我慢するんだ。じゃあなおさら溜まるよね。」
 「で、でもみんなそうなんじゃ…」
 「いや、意外とみんなしてないしてない言いながらもオナニーしてるもんだよ。それか旦那に強請るとか。旦那があてにならない場合は…」
健太郎は少し言葉を溜めた。すると真剣な眼差しをして若干身を乗り出してきた紗英。
 「場合は…?」
健太郎はそんな紗英の目をじっと見ながら言った。
 「旦那以外の男に求めたり…ね。」
紗英はその言葉に未だかつて感じた事のないような胸のざわつきを感じたのであった。


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