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ディーナの旦那さま
【ファンタジー 官能小説】

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その夜の旦那さま-2

「お前の方が正しかったわけだ……すまなかった」

 素直に非を認めたカミルに、リアンが驚いたように目を見開く。そして困惑するように頭を掻いた。

「親方たちから、あんたは変わり種って聞いてたけど。俺の持ってた吸血鬼のイメージ、ことごとくぶっ壊してくれるよな。ったく……もっと嫌な奴だったら、遠慮なくディーナを奪えたのに」

 リアンが拗ねたように言った時、庭の一画からサンドラの声が飛んできた。

「リアン! 怪我の治療をするから、こっちに来なさい!」

 カミルとリアンがそちらを見れば、忙しそうなサンドラが消毒液を患者にかけつつ、もう片手で手招きしている。
 リアンが自分の腕へ、チラリと視線を走らせた。
 人狼は驚異的な回復力をもつ種なので、彼の傷もすでに血は止まり、浅いものは塞がりつつさえある。

「姐さん! 忙しければ、俺は……」

 そう声をあげかけたが、リアンは不意に言葉をきって口をつぐむと、カミルにすがりついているディーナの背へ、一瞬だけ泣き出しそうな視線を向けた。

「……一応、消毒くらいはしとくか。姐さんの気遣いを無にするのも何だし」

 乾いた血のこびり付く腕を一振りして、彼は独り言のように呟く。カミルたちにあっさりと背を向けて、サンドラの方へ歩いていった。

 それを見送ったカミルは何となく、サンドラは治療のためにリアンを呼んだというより、ディーナから離れるきっかけを作ってやったのではないかと思った。
 腕の中で荒い呼吸を繰り返しているディーナに目をやれば、トロンと蕩けた瞳がカミルを見上げた。

「は、ぁ……おねがい、です……だんなさま……も、苦し……して、ください……」

 媚薬で意識が混濁しているのだろう。ディーナはまるで周囲など目に入らない様子で、淫らな喘ぎを零しつつ、カミルへ身体を擦りつける。

「っ……」

 思わず素直な欲情を煽られ、そんな自分へ舌打ちしたい気分になった。
 できれば家に連れ帰りたかったが、この悶え様子ではとても持ちそうにないと見て、カミルはディーナを抱えなおすと、夜猫の頭首の方へ歩いていった。
 廃屋の状況を手短に話すためと、一番近くにある宿の部屋を借りたいと申し出るためだ。


 ―― 案内された宿は、娼館の近くにある小さな酒場の二階だった。

 一応は夜猫の経営だそうだが、看板も出ていない目立たぬ店なので、こんなに近くてもアルジェントに目をつけられることはなかったようだ。
 ここまで案内してくれた夜猫の部下はもちろん、大人しそうな老店主も、媚薬を打たれた娼婦など見慣れているらしい。

 カミルに抱えられて悩ましい吐息を漏らすディーナに、店主は好機の目を向けたりせず、余計なことも聞かずに、さっさと部屋を用意してくれた。
 察するにこの隠れ宿は、密会する男女やわけありの客用といった所なのだろう。

 店主が扉を閉めて出て行くと、カミルはディーナを寝台にそっと降ろす。
 だが、ディーナが首に絡めた腕を離さず、それどころかいっそう引き寄せたので、覆いかぶさるように一緒に倒れこんだ。柔らかな唇がカミルの口に吸い付く。

「ん、ぅ……ふ……だんなさま……ん、ん……」

 たどたどしい動きで舌を絡めながら、ディーナは恍惚の呻きを漏らす。少しでも快感を得たいとばかりに、小さな身体をカミルに必死で擦りつける。
 淫らなその姿に、カミルのほうが媚薬でも盛られたかのように、全身が熱くなっていく。

 自己嫌悪の海で溺れそうな気分だったから、媚薬に苦しむディーナを慰撫はしても、それを利用して自分の欲を満たそうとは思えなかった。
 なのに、早くもその気持ちが揺らぐ。ディーナがここまで理性を飛ばしながらも、カミルだけを求めてくれるのに、驚愕と喜びが湧き上がるのを禁じえない

 衣服を脱ぐのも脱がす間も惜しく、暗器をしこたま仕込んである自分のマントと上着にブーツだけを手早く放り捨てた。
 しっとりと汗ばんだディーナの太腿に、乱れたスカートの下地が張り付いている。
 裾から手を差し込んで脇腹や腰を撫でると、寝台の上で小さな身体がビクビクと跳ねた。
 反射的に引けようとする腰を押さえて、衣服の上からでも解るほど尖った胸先を噛む。

「ああっ! や、だめっ! だめぇっ! あぁっ!」

 ビクンッと、ディーナは大きく震えて喉を反らした。焦らされすぎた身体は、たったこれだけでも強烈に感じてしまったのだろう。

「止めて欲しいか?」

 胸から口を離して尋ねると、ディーナは自分でもどうして欲しいのか解らない様子で、火照った頬に涙を流して頭を左右に振る。

「い、やぁ……はぁっ……やめない、で……あ、あぅっ……あぁっ……助け……だんな、さま……ぁ」

 眦から涙を零してすがる声が、カミルの雄をどうしようもなく煽り立て刺激する。平静を保とうとしても息が乱れ、動悸が激しくなっていく。
 火照った頬に流れる涙を舐めとり、カミルはまた布越しに乳首を食みながら、蜜でじっとりと重くなった下着を手探りで剥ぎ取った。
 ぬるついた花弁の隙間に指を差し込むと、驚くほど熱くなっている蜜壁が、たちまち指に絡み付いて蠕動を繰り返す。

 ニチュニチュと粘ついた音をたてて抜きさしするたびに、ディーナの腰が上下に跳ねる。
 快楽に溶けた嬌声をあげ、弄られやすいように自ら膝をたてて男の手を受け入れる。
 三本に増やして臍の裏側を強く突くと、ひと際高い声があがった。ディーナが大きく背中を仰け反らせ、奥から熱い蜜がどっと溢れる。


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