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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 木曜日・懲戒 〜-2

「……」

 カチリ。 映像を切り替える。

 Cグループ3組。 新人教員を一歩超えたというべき、4年目の『14号』が差配するクラスだ。 黒いスーツに黒いスカート、靴からストッキングまで黒一色に統一した『14号』は、教卓を操作してホワイトボードに動画を投射していた。 学園の外でのドキュメンタリ動画――『合宿』で見せた映像をつくる際に、見栄えが悪いためカットされた部分を改めて編集し直して作った動画、即ち社会で不要とされた牝の末路を納めたもの――だろう。 家畜処理を地でゆくような、ヒトが素材に変わる場面。 さっきまで屈託なくお喋りに興じていた少女が、農地の肥料に変わる過程。 抗体産生の媒体に選ばれた身体が奇形し、生命活動と引き換えに医薬品を取り出される瞬間。 どれ一つとして暗喩も暈(ぼか)しもモザイクもない、ダイレクトな映像だ。 もっとも、映像に出てくるほとんどのシーンは、科学の進歩により現在では行われていないのだが、生徒たちにはそんなことは関係ない。

 視聴する生徒の様子はといえば、この数日で鍛えられたからだろうか、目を逸らす者は誰もいない。 初日は教室中に散乱した吐瀉物も、パッと見たところどこにもない。 とはいえ、どの生徒も瞳孔は限りなく閉ざされ、しきりに生唾を飲み込み、或は逆流しつつある胃液にえづき、何かを懸命に耐えているのがありありと伝わってくる。 14号の意図は明確だ。 学園のレールから外れたものがどうなるか、繰り返し脳裏に刷り込むことで、生徒を恐怖で支配しようとしている。 罰、辱め、痛みよりも圧倒的に強大な『死』の恐怖に取りつかれてしまうと、生半な理不尽など些末な問題に思えてくるから不思議だ。 指導の徹底率でいうと、14号もまた模範的な成績を示す。

 ただ、14号のスタイルがもつ弱点かどうかは分からないが、14号から進級した生徒は大抵想像力が欠如しているような気がする。 指示に従う力はあるのだが、こちらの意図を忖度(そんたく)するべきタイミングでの行動が鈍いのだ。 結果として委員長や寮長いった責任を伴う立場に立つ者が極端に少なく、学園を卒業しても高いランクに進めないという傾向が見られる。

「……さて」

 Cグループ2組の教室は映さない。 HRが済み、裸体にモップを咥えた牝たちが床を磨いている映像なんて、興味の欠片もそそられないし、確認する価値も特にない。 2組関連なら、まださっきの『講習室』の方がモニターしがいがある。 3人の生徒が強制的に達しながら、懸命にカメラを追いかけ、ビクンビクンと痙攣するたびに、強張った笑顔を作っていた。 大粒の涙をこぼしながら、涎と鼻水を垂らしながら、それでもポーズをとっていた。 数回やり直しをさせられたのだろう、カウント数は3人ともバラバラだったが、見た感じでは3人とも最後までやりおおせることだろう。 途中で心が折れ、延々絶頂を与えられながら、脱水でリタイアするような気配はなかった。

「ふう。 決まりは決まり……か」

 独りごちてから、僕はモニターを切り替える。 

 一面真っ白に塗られた部屋。 A棟職員室の一角にある職員指導室、通称『懲戒室』という。 純白の真ん中に、一糸まとわぬ姿になった『2号』が、手を真横に沿わせた直立姿勢をとっていた。

 学園では生徒指導を『4回』出すごとに『教員の指導力不足』を認定し、自戒を促すべく『懲戒指導』を行っている。 2組を担当する2号は、初日に排泄指導を1回だした。 4日目である本日、自慰指導を3回出したので、都合4回だ。 教員1年目の新人教員としては、担任4日目で自らにも『懲戒』を出してしまったことになり、こういったケースは僕にとっても珍しい。

 クイ。 僕はモニターの向こうに声を送るべく、マイクを口許にもってゆく。

「その場で絶頂しなさい」

『ハイ!』

 監視カメラに備わったマイクから甲高い絶叫が返ってきた。 学園全員――勿論教員を含む――にとって、僕への返答は『ハイ』以外一切認められていない。 

 返答に続き、2号は間髪入れず股間をまさぐる。 獣のように激しく指を出し入れする様子は、まるで手首まで挿入しているかのよう。 真っ白な肌に実った乳房は今にも千切れそうなくらい激しく揺れている。 たったまま腰を落し、気張っているのか太股の筋肉がピクピク震える。 
 僕はチラリと腕時計を見る。 1秒、2秒、3秒、4秒……

 ビクン、ピシャ。 2号が首から上を仰け反らせ、併せて白い床に飛沫が飛んだ。 

『2号! ただいまイかせていただきました!』

「……」

 懲戒室の自慰判定ランプはしっかり点灯している。 学生時代から優秀なメスだと思っていたが、教員になっても自分の立場に安住せず、しっかり自慰に励んでいるようだ。 5秒以内に達する性感を維持するには、少なくとも毎日30回以上の『時間を区切った自発的』マスターベーションが欠かせないといわれている。

 2号の教室もしっかりモニターしてきたが、彼女はここ数年の新担任としては、一際ハードなカリキュラムを組んでいる。 何をそんなに焦っているのか知らないが、それとも何か考えがあるのかもしれないが、補習を連発するのも異例なことだ。 では2号の教育方針が的外れかというと、僕にはそうとも思えない。 今の段階でとやかくいうつもりはない。 僕がすることといえば、目新しい風を含んだ教室を眺めつつ、規定通りに2号の懲戒を見届けることだけだ。



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