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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 水曜日・吊蝋 〜-3

「ひゃっ……ひっ」

 いつの間にか、私の頭上に赤い炎がチラチラしていた。 薄暗い武道場の梁に並ぶ蝋燭だ。
 炎が盛るたび、一滴、また一滴と蝋が垂れる。 蝋は私の顔とお尻に集中し、あっという間に伸ばした舌や、窄まった菊門を赤い塊で覆い尽くした。 蝋燭は思ったより熱くなかったけれど、最初に舌と肛門を直撃したときは、ビックリしすぎて気を失いそうになった。 大抵のことでは驚かないと思っていても、神経が鈍ったと感じていても、新しい痛みはあっさり理性を貫いてしまう。

 身体を捩れば蝋を避けることができそうではあった。 しかし、私はジッと蝋を舌に溜め、肛門の中に受けとめ続けた。 最初の痛みさえ耐えてしまえば、あとはどうということもない。 安易に痛みから逃げるのではなく、受け止めること。 それが私達に期待される姿勢だと思う。

 4限目が始まって15分。 ほとんどの生徒が様々な蝋化粧を踏まえて吊るされた中、仕上げとして、B61番はバケツに入った塩水を私にぶちまけた。 吊るされて、縄でがんじがらめにされたところにこの仕打ちだ。 水気を吸った麻縄は縮む。 肌に喰い込む瘤や縄が、より一層裸の身体を締めつける。 挙句に乾燥した潮で縄の繊維があれ、麻縄の肌触りがもう一段荒くなる。 それまでは息を殺して我慢していた私だが、急に締めつけがきつくなり、激しくあからさまに噎(む)せてしまった。 呼応するかのように、其処此処で嗚咽や悲鳴が聞こえた。

 ……残り35分は陰惨な時間だった。 垂れる蝋も含め、私たちは吊るされたまま放置されたのだ。 後ろ手に縛られた肩からは、とうに感覚がなくなっていた。 髪ごと引っ張られた頭は、無理な姿勢で凝り固まり、身じろぎするだけで激痛が走る。 足首に強く巻きついた縄のせいで、まるで長時間正座していたように、爪先まで痺れが酷い。 腰から下がった石ブロックに繋がる麻縄は、一際身体を締めつけている。
 拡張された鼻からは、はしたない鼻水が止まらない。 舌に載せきれなかった蝋が、顎や唇にこびりついて、明太子を頬張っているかのような有様。 乳首、クリトリスからぶら下がった分銅が揺れるせいで、突起の先端がパンパンに膨れ、いまにも千切れそうに腫れていた。  

 そんな中、私たちは只管(ひたすら)我慢させられた。 刻一刻と弥増(いやま)す苦痛から逃げ出す術はなく、竹刀をもった風紀委員が闊歩する中、ただただ時間が過ぎるのを待った。 時折耐えきれず悶えた生徒が、パァンと激しい打擲によって、豚のように悲鳴をあげ、サンドバッグのようにグラグラ揺れる。

 ポタポタと垂れる蝋の音だけが支配する武道場。 朦朧となる意識の下にあって、全身の温度がスーッと下がる。 身体がふんわり宙を舞う。 急に暑くなり、また寒くなり、何が何だか分からなくなる。 あとほんの一押しで、私の意識は飛んでいってしまうような、そんな時間を経て、

 キーン、コーン、カーン、コーン。

 意識の片隅に4限の終わりを告げるチャイムの、無機質でも心なしか暖かい音色が薄っすら届いた。


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