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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 水曜日・打撃 〜-3

 バットが終わると『竹刀』が待ち受けていた。 竹を束ねて柄(つか)を嵌め、先端をまとめた試技用具だ。 お尻にはバットの衝撃で青痣ができており、ここが更にぶたれたらどうなるんだろうかと慄いていたら、現実はもっと厳しかった。 第1姿勢のまま胸を張り、上半身を気持ち前傾させろという。 冷や汗を流しつつ『お願いします!』と叫ぶと、嫌な予想は当たるもので、竹刀が私の胸に直撃した。

 呼吸が止まる。 たちまち赤い線が乳房に刻まれ、たわむ最中(さなか)に呼吸が止まる。 衝撃が肋骨まで達したせいで、横隔膜が自由を失ってしまったからだ。 理性がホワイトアウトしそうな中、私はとにかく教官の言葉を反芻する。 自分の痛みを顧みず、罰を受けることを優先する――竹刀は胸を狙っているのだから、丁度乳首に竹刀が当たるような、そんな姿勢をとれということ。 十分に息を吸えないながらも、胸を更に張った上で、叩かれる体勢を作り直した。

『お、おねがいします……っ!』

 ビシッ。 狙い通りというべきか、上半身の急所に寸分違わず竹刀が跳ねる。 痛覚が悲鳴をあげ、身体中を電流が駆け抜けた。 ジッとしていられるわけがなく、胸を反らせたアヒルのような姿勢でヨロヨロと身をくねらせる。 そうして痛みを分散させれば、どうにか立ったまま我慢できた。

 ここで気づく。 痛みは格段に上がったが、呼吸は出来ているではないか。 ひたすら乳首が痺れるだけで、肋骨への衝撃もほとんどない。 偶然にも乳房の頂点で竹刀を受けとめたことで、肉厚の脂肪が肋骨、肺を守ってくれたのだ。 即ち私が2打目を受けた姿勢こそ、竹刀で胸の罰を受ける正しい姿勢といえるだろう。 自分から急所を差し出すことが罰を耐える鍵になるとは、実際にぶたれるまで考えもしなかった。

 正しいと分かっていても、乳首に走る痛撃は恐ろしい。 
 恐ろしいけれど、モタモタするわけにはいかない。
 
『おねがいしますっ!』

 ビシッ、ヨロリ、歯を喰いしばって胸を張る。

『おねがいしますっ!』

 ビシッ、ヨロヨロ、早く終わってくださいと祈りながら顔をあげる。

『おねがいしまぁすっ!』

 ビシッ、ヨロリ、深く吸い込めない息の中で、少しでも大声をだそうと口をあける。

 結局合計で10打。 乳首を虐める竹刀の嵐は、特に最後の2回が痛烈だった。 乳房に一筋の赤い縞模様が浮かんだが、乳房の形状のせいで、頂点付近は血が滲んでいた。

 他の6名が罰を受けている間、私はひたすら身体を休める。 脂肪がお尻よりも薄いため、乳房の痛みは中々ひかない。 深呼吸を繰り返すうちに、あっという間にまたしても私の番がきた。 竹刀の次は何だろうと訝しむも、風紀委員は何も持っていないではないか。 もしかしてさっきの竹刀で御終いでは――などと淡い期待を持つ余地はない。 何しろここは学園だ。

 案の定というべきか。 次は『膝蹴り』が待っていた。 第1姿勢で身を正す私の両肩を掴むなり、風紀委員のB61番は、跳ねながら膝をたて、鳩尾(みぞおち)にめり込ませるではないか。 『ふぐっ』と一声呻いたきり、パクパクと声にならない悲鳴をはなつと、私はその場に崩れ落ちた。
 皮膚に弾ける痛みと違い、内臓に達しようかという、抉り込む鈍痛。 こんなもの罰というより暴行だ。 こんなことまでされて、黙って耐えろと教官はいう。 どこまで私達を苛(さいな)めば気が済むのか、途切れかかる理性と裏腹に、身体はゆっくり元の姿勢をとっていた。 意識して膝蹴りを受け入れようとしているわけじゃない。 身を挺する本能の欠片が、更なる暴行を防ぐために、与えられる試練に応えようと身体を動かす。

 私は勝手に腹筋に力を籠めていた。 碌すっぽ運動してこなかった自分でも、筋肉を固めれば痛みが和らぐことくらいは知っている。 下腹部に力み、風紀委員の無情な瞳を見据えると、

『おね……がい……します……!』

 途切れ途切れながらも、私にできるめいいっぱいで、隔舌よく罰を頼んだ。

 ズン。 すかさず飛んでくる強烈な膝。 『ウッ!』となるも、覚悟さえ決めれば耐えられない痛みではない。 膝はガクガクなるけれど、崩れる手前で抑えられないほどじゃない。

『おねがい……します……!』

 ズン。 寸分違わず同じ場所を抉る膝。

『うっ……お、おねがい……します!』

 ズン。 またしても全く同じ腹筋に重ねてくる。

『くっふっ……おね……がい……しますっ!』

 ズム。 力を籠めながらだと、上手く声がでない。 かといってまともに喋れば腹筋が緩む。

『くひっ……おねがい……しますう……!』

 前後に移動するわけじゃないので、けつバットやビンタと比べ、膝蹴りの間隔は短かった。 あたかもサンドバッグのように、連続して膝がとぶ。 無様に鼻水がこぼれ、引き結んだ口許から涎が溢れ、それでも崩れることなく私は頑張った。 意識を100パーセント腹筋に集中していたので、結局何回膝蹴りを受けとめたかは覚えていないが、間違いなく10回以上だ。 

 私の膝蹴りが終わり、風紀委員が23番の罰に移ったとき、私のお腹にはまるで感覚が残っていなかった。



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