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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 水曜日・鞭打 〜-2


 ヒュッ、と九尾の鞭を鳴らし、半身を私たち、もう半身を風紀委員に向ける教官。

「手加減、打ちそこない、みっともない様を晒した場合はどうなるか、いうまでもありませんね。 7人ずつ、5列に分かれていますから、それぞれ1列を担当してもらいましょうか」

「「ハイ!」」

 ひな先輩の癇走った返事を含め、揃って答える風紀委員たち。 それぞれが持参した鞄から九尾の鞭をとりだすと、手の振りから足の運びまで、揃ってこちらにやってきた。 

 私は4列目の先頭だ。 5人の風紀委員の中で、最も大柄で逞しく、胸許は『B61』と刺繍した 女子が、私たちの列の担当らしい。 私のすぐ傍に直立する。 一方、ひな先輩は5列目――私のすぐ隣の列――を担当するべく、鞭を携えてやってくる。 部屋で見せる子供っぽい横顔はどこへやら、感情が伴わない機械のような面もちで、尻をもたげる29番の隣で背筋を伸ばしていた。

 教官は直立する風紀委員たちを一瞥し、教壇の上から私達に呼びかける。

「いいこと、一度しかいいませんから、Cグループ生はよく聞くように。 1人につき5発ずつです。 最初は簡単な挨拶にしましょう。 ぶたれるたびに『気持ちいい、もっと叩いてください、あたしは変態です』と大声で叫ぶこと。 返事が聞こえなかったら、最初からやり直しです」

 聞き間違いか? え、なんていった? 気持ちいい、もっとぶってください……? 鞭でぶたれるだけではなく、更に鞭を自分から乞わなくてはいけないとでも? 鞭を嫌がることすら許されず、変態に身を窶(やつ)して、更なる痛みを有難く思わなければいけないということ? 
 足首を掴んで尻を晒す私達は、顔を見合わせて互いの感情を伺う自由すら持ち合わせない。 自分で判断し、自分で行動しなければいけない。 つまり私がどうすればいいかというと……。

「わかりましたか」

「「ハイ! インチツの奥で理解します!」」

 わかりましたか、と聞かれれば条件反射で答えてしまう。 そうだ。 答えは最初から決まっている。 教官が告げた言葉は、間違いなく言葉通りの意味。 平然と糞尿に塗れなければならない学園において、鞭を自分から乞うことくらい当たり前だ。 来るべき鞭の衝撃と、続けて叫ぶべき声に備え、私は腹筋に力を籠める。 

「では、風紀委員のみなさん。 はじめなさい」

「「ハイ。 笞刑(ちけい)を執行します」」

 ギュっと瞑った瞼の横で、風紀委員の無機質な声がしたかと思うと、

 ヒュウッ。

 肌に冷たい突風がふいた。


 ……。


 覚悟を決めたつもりでいたけれど、最初の一打は全く声が出せなかった。 痛みもさることながら、パァンッ、お尻全体が破裂したような打擲音に気圧される。 結果として『き、きもち……ああ……ッ』声にならない吐息をつくしかできなかった。 そのまま肩で息を一つした私は、隣で『もう一度、最初から』と無慈悲に告げる風紀委員に、歯を喰いしばって頷く。

 2打目はどうにか声を振り絞った。 パァン、片側のお尻で鞭が弾け、
『きっ、きもちいいっ、も、もっとたたいてくださいっ、あたしはへん――』
 指定された言葉を叫ぶ。 ところが私の精一杯は、叫び終わる前に風紀委員から遮られた。 『遅い。 もう一度最初から』  もう生半可な覚悟どころじゃない。 痛みを通り越して叫ばなければ、たった一度の鞭打すら認められないのだ。 言葉を用意し、脂汗が滲むに任せ、指定の言葉を用意する。

 パァンッ、3打目に続き、
『きもちいい、もっとたたいてください、あたしはへんたいですッ!』
 半分以上自棄になって叫んで、初めて風紀委員が首を縦にふった。 ここまでして、やっと一打の合格なのだ。 これをあと4回、連続してこなせば私の鞭打ちが終わってくれる。

 パァンッ、実質2打目。 
『きもちいい、もっとたたいてください、あたしはへんたいですッ!』

 パァンッ、実質3打目。 
『きもちいい、もっとたたいてください、あたしはへんたいですぅッ!』
 どうしても語尾が上擦ってしまう。 遅れないように、声が小さいと言われないように、感情を殺して自分の身体を機械化しなければ。 さしずめお尻はスイッチで、スイッチが入るたびに自分を貶める台詞を吐くという、みじめで情けない肉の機械。 それでも私は構わない。 自分がどんな姿になろうと、現状を乗り越えるために必要なら、その姿は私にとって必要な姿だ。

 パァンッ、4打目が間髪いれず弾ける。
『きっ、きもちいい、もっとたたいてください、あたしはへんたいです!』
 あと1回……あと1回……。

 パァンッ! 最後の1打は、それまでよりも一際綺麗な音色だった。 空気が触れるだけでひりつくお尻。 鞭の痕が刻まれたのは勿論として、全体が真っ赤に染まっているに違いない。
『きもちいい! もっとたたいてくださいっ、あたしはへんたいですッ!』
 喉から声を振り絞る。 風紀委員のB61番は、短く『以上』と呟き、私の後ろでまつ30番の隣へ移った。 崩れそうになる膝を支え、お尻をもちあげた姿勢を保ちながら、私は肩で息をした。 
 
 それから数分の間。 パァンという小気味よい九尾の鞭と、クラスメイトの叫びが教室中に充満した。 猿のごとく真っ赤になったお尻を抱えた私達が、次の仕置きに恐々としながら教官の様子を伺うと、教官はさっきとは別の鞭をパシパシ鳴らしていた。 


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