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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-96

(ひとみちゃんもお兄ちゃんも、いつも、あんなことしてるんだ……)
 ふたみの右手が、するするとショーツのほうに伸びていく。
(舐めたりしてるんだ……お兄ちゃん、ひとみちゃんのあそこ……舐めて……)
 厚手の綿ショーツは、しかし、ふたみの淫液を吸い込んで、うっすらと湿っている。
(あの水みたいなの……ひょっとして、ひとみちゃんのあそこの音……)
 それを真似るように、ショーツの上から筋を擦る。びり、と快楽を帯びた電流がふたみの背筋を這い上がった。
(お兄ちゃんが、ひとみちゃんのあそこを、こんなふうに……)
 指で、ぴちゃぴちゃとわざと音をたて、自慰にふける。
 ささやかな快楽は、いつものオナニーと同じ。しかし、ひとみのように乱れるほどに喘ぐものでもない。
(やっぱり、お兄ちゃんのを……)
 中で、ぐちゃぐちゃしてるから……。想像だけだが、勇太郎の股間とひとみの股間が密着し、硬いもので抉っているビジョンを思い浮かべる。気がつけば、ふたみは、人差し指と中指をショーツ越しに、強く割れ目に押し付けていた。
(く、くふ……あう……あう……)
 その指を上下に激しく蠢かす。頭の中で、何度も何度もひとみの喘ぎをリフレインさせて。
(は、はふ……あふ……あふ……あうぁ………)
 半月前に、電車の中で凄く苦しい思いをしたこと。結局我慢できずに、誰もいないホームで、ショーツを履いたまま大きいほうの粗相をしてしまったことを思い出して。
(あ、あう……あくっ……!)
 痴漢から助けてくれた、丸眼鏡の八重歯さん。文芸部にやってきた、轟兵太さん。彼を思いながら、学校のトイレで自慰をしてしまったこと。
ここ最近の、ありとあらゆる性的刺激をミックスさせて、ふたみは自らを高めていく。
(あ、やだ……この感じ……)
 ふたみの体がぶるりと悪寒に震えた。股間に、快楽とは違う別の熱さがこみ上げてくる。
(でも、やめたくない……!)
 ふたみは四肢を張り、指の動きを早め、性的絶頂を極めようとする。
(あ、ダメ……!)
 しかし、それよりも早くやってきたものがあった。
 ふたみは、慌てて席を立つ。しかし、階下にある目的地までは絶対にたどり着けない。そのまえに、きっと、絶望がやってくるだろう。
(………)
 遺された手段は、目の前にある窓だけだった。
 カーテンをさ、とずらす。そして、机の高さと同じ位置にある窓を開け放つと、その机に足をかけて乗り、中腰の体制のまま、ショーツを膝下までずらして、窓際近くにしゃがみこんだ。
(うくっ!)
 堪えていたものを、一気に吐き出す。股間から迸った金色の水流は、窓下の瓦を伝い、雨どいのほうへ流れていった。
(はあ…………)
 自慰をすると、高い確率で尿意を催してしまう。それが、激しいものであれば尚更に。ふたみは、緩い自分の括約筋を、すこしだけ恨めしく思う。
(……………)
 窓から放尿するという、きわめて異常な事態。しかし、ふたみにとってこれは初めてではない。前の家のときも、夜が怖くてトイレにいけないときはこうやって処理したし、この家に越してきたときも、のっぴきならない状況のときは、窓から用を足していた。
(……………)
 その度に、ふたみは思う。自分は、普通の女の子ではない、と。トイレじゃない場所で、こんなふうに用を足していることなど、その際たるものではないか。
(こんなとこ、お兄ちゃんとか兵太さんに見られたら……)
 どう思われるだろう。
勇太郎には、粗相をした布団の後始末を頼んだり、下痢になったときの排泄の音を聞かれたり、座薬も入れてもらったりした。しかし、それは、あくまで自分にとっての“お兄ちゃん”という感情があればこそ自分に許した行為だ。


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