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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-25

第3話 ひとみの不満

 熱い夜だ。夏も本番を向かえ、連日続く熱帯夜。
 そして、若いふたつの肉体もまた、熱情に駆り立てられるまま、互いの汗を飛び散らせていた。
「あっ………んふっ……んっ、んっ、んっ、んっ!」
 花も盛りな園に侵入する、凶暴な猪。白濁した意識の中で、勇太郎は、自らが興じる痴態をそんなふうに表現してみる。
「あ……あくっ!」
 ひとみが、シーツを握りしめていた指に力を込める。勇太郎は、自分の淫棒から伝わるひとみの秘筒の小刻みな震えに、彼女の限界を悟った。
 さきを走るひとみに追いつくため、猛然と腰を振る勇太郎。ぱんぱん、と、肉の弾きあう音が、更なる劣情を彼に与える。
「イ……イクっ―――――!!」
 きゅ、と、結ばれたひとみの、上下の唇。
勇太郎は、少し遅れ気味に、自分の快楽を頂点へと昇華させた。わずかに残された理性を振り絞って、腰をひとみの体から引き離す。
「く」
 その瞬間に、鈴口から、勇太郎のエキスが迸り出た。



 いびつな円状の月が空にはあり、窓から入るその薄明かりが、部屋に燭(しょく)を燈(とも)す。
 そんな幻想的な空間に漂う、濃密な芳香。愛情の全てをかけて燃えあがった二人は、今、穏やかな時間を過ごしている。
「とっても、よかった……」
 ひとみは、まだ余韻を残しているのか、勇太郎の腕に頭を預けながら、尚も艶めいた視線を彼に送った。勇太郎は、そんなひとみの髪を、優しく撫でさする。
「あんなに、痛かったのに……」
 破瓜の瞬間に自分を切り裂いた強烈な痛みを思い出すひとみ。それと同じ部分から、これほどまでの快楽が得られるとは、誰に想像できるだろう。
「ゆうたろう……」
 ひとみが、目で囁く。勇太郎は、そんな彼女の頭を抱え、その唇から言葉を奪った。
「…ン……ンン…」
 唇による、唇のための愛撫だというのに……ひとみの中では、くすぶる種火が間を置かず炎に変わってゆく。
「はぁ……」
 離れた唇から漏れ出る吐息は、熱い催促の声。目を閉じて、勇太郎の愛撫を待つ。
 だが―――
「………ゆうたろう?」
 彼は、火種を燃やし尽くしたらしい。
「寝ちゃったの?」
 それも、そうだろう。二人はこの夜だけで、四度の結合を果たしたのだから。
「………」
 誘った手前、とてつもない羞恥がひとみに襲い掛かる。ひとり合点に燃え上がった劣情が、行き場を無くしてかき乱れる。
(うぅぅぅ……)
 さすがに勇太郎を起こしてまでナニをしようとは思わないが、なんとなく感じる物足りなさを抱えながら、ひとみは目を閉じた。



 貪欲なもので―――。
 勇太郎と何度も肌を重ねるうちに、痛いどころか至上の悦楽を得られるようになった。そうなると、今度は、更なる高みへ行ってみたい。もっと、もっと感じたい。
(でも……)
 肝心の勇太郎は、セックスが薄味だ。
優しく愛してくれるのは、とても嬉しい。後始末もきちんとしてくれる。前戯も、後戯も、その触れ方には乱暴さが微塵もない。
だからだろうか。ひとみは物足りなさを感じ始めていた。
「ただいまー」
ひとみは部活から戻ると、昼食を平らげ、部屋のベッドに横たわった。学園は、もう夏休みに入っている。午後からの予定は、何もない。
しかし、勇太郎は、今日は祖父を見舞うことのできる日とかで、病院にいっていた。面会時間の終了まで居るそうなので、帰りは遅いとも言っていた。


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