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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-2

 勇太郎は絵に描いたような「普通の人」であり、転校してきた頃こそは珍しさもあって注目を集めたが、2ヶ月を過ぎた今ではそうでもなくなった。日がな一日、ぼうとしているため、気がつけば「昼行灯」とあだ名されていた。昼行灯の正式な意味からすれば、少し当てはまらないような気もするが、とにかくニックネームがつくぐらいに、勇太郎はクラスに溶け込んでいた。
 一方、ひとみは、さっぱりした性格、ボーイッシュな顔立ちと、艶やかな髪を無造作にまとめたポニーテールが魅力的で、男子生徒たちに人気があった。
 しかし、既述の通りオトコを嫌っている風であり、言い寄る男子は全て袖にしてきた。時には、逆恨みをかうこともあったのだが、幼少から武道をたしなんでいることを一度見せて以来、誰もそれ以上の深入りはしてこなかった。そして、その性格ゆえに女生徒の中でも人気は高く、それが原因で、妬まれるということはなかった。
 それにしても……オトコ嫌いのひとみが、勇太郎に心を開く理由は何だったのだろうか? 勇太郎も、それは疑問に思っていた。
 しかし、この『暗夜奇行』を手にした瞬間、それは少しだけ解けた。とんでもない接点が、二人には既にあったのだ。出会う前に。

 期末試験が迫っていると同時に、転校してきて間もない勇太郎が勉強に遅れ気味であることを察知したひとみが、自分の部屋へ彼を誘ったのは、勇太郎が衝撃の発見をする三十分ほど前のことであった。ひとみからすれば、隣人でクラスメイトでもある勇太郎への親切のつもりであったろうし、勇太郎自身も、なんら邪な考えを抱きもしなかった。
 この小説が隠れていたベッドの下を探ったのも、事故だった。
 ひとみが部屋を出て、ひとりでシャーペンを走らせていた勇太郎が、誤って消しゴムを跳ね飛ばしてしまったのだ。それが、ベッドの下に転がってしまい、勇太郎はやむなくその下を覗き込んだ。その時、消しゴムのすぐそばにあった文庫本の背表紙が目に入ったのである。
 官能小説家である祖父の名が。
 勇太郎は、思わずそれを引きずり出し、そして、ページをめくっていた。



『………

「そ、そこはぁ………あはぁっ! い、いやぁ! 汚い、汚いですからぁ!」 
 喘ぐミナトの声が届かないのか、トオルは不浄の穴に埋め込んだ指をさらにかき回す。膣とは全く違う指の拘束感と、ミナトの狂おしいまでの反応にトオルは酔った。
 そして、柔らかい乳房を玩んでいた左手を股間に持っていき、そこに息づく花を愛でる。既に熱い蜜を湛えていた花は、たちまちねっとりと蜜を吐き出して、トオルの指をしとどに濡らした。
「お嬢さん………濡れて、いますよ…」
 本当は、トオルは、もっと屈辱的な言葉でミナトを嬲りたかった。しかし、愛するひとを思うと、これ以上の責め苦は、自らにとっても苦渋に満ちたものになると考え、やめた。
「ああっ、んん、んん、んん!」
 トオルは口のかわりに、両方の指を動かす。ミナトは狂ったように腰を振り、その愛撫に応えた。……』


 ごくりと、勇太郎は唾液を飲む。そして、一心不乱にページをめくった。……迫る足音にも気づかずに。


『………

 はちきれんばかりに男を主張するトオルの腰剣が、ミナトの視界に入る。ミナトは熱にうなされたような視線をトオルに向け、その名を呼ぶ。
「トオルさん……トオルさん……お願い…お願い……お情けを、お情けを……!」
 トオルは愛しい人の願いをかなえようと、すぐさま両の穴から指を引き抜こうとした。


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