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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-157

「………」
しかし、いつまでもひとみに恥ずかしい想いをさせるわけにはいかない。とりあえず、白い尻たぶに手を添えて、桜色の媚肉に口を寄せた。
(あっ)
 さて問題です。この状態でその部分に口を寄せるということは、顔の構造上、鼻は何処に近づくでしょう?
(………)
 答えは、少し盛り上がった蕾のところです。
“匂い”という言葉が、もっとも直接的に響く場所…。勇太郎は思わず、静かに鼻を鳴らしていた。
(……っ)
ほんのかすかに、芳しい香りが鼻腔を刺激した。ほんとうに、吸い込んだしばらく後になって、それとわかるくらい微かに。
もしもこのことをひとみに言ったら、きっと彼女は本格的に泣いてしまいそうなので、何も言わないでおいたが。
勇太郎は顔を離した。
伏せた顔を真っ赤にして、恥辱的な姿を晒しているひとみ。それだけで、愛しさが止まらなくなってしまう。
「ひとみ、こっち向いて……」
きゅ、と目をきつく閉じて羞恥に耐えているひとみの耳元にささやきかけ、注意をひきつける。そして、優しく頬にくちづけを送ると、なかなか動かないひとみの身体をそ、と仰向けに倒した。
「あっ、ゆうたろ……」
その上に覆い被さるように身体をもってくる。当然、正規の状態で向き合う体勢になる。
 羞恥に染まった顔色そのままに、涙が零れてきそうなほど潤んだ瞳が、勇太郎を見上げていた。
「ヘンなことしちゃって、ごめんね……」
 額に、お詫びのキスを。
「好きだから……好きで、好きで、たまらないから……」
 両頬に、情愛のキスを。
「ひとみの全部が、欲しいんだ……」
そして、唇には求愛のキスを。戯れるのはもうやめて、今はひとみを心から愛してあげたい。
「うん……いいよ……」
ようやくひとみの表情が戻る。優しく首に廻った腕が、勇太郎を捕まえる。
「あげる……わたしをあげる……全部、ゆうたろうに………あげる……」
今度はひとみが、勇太郎の顔を引き寄せて、その唇を強く重ねてきたのであった。





その日の夜、弥生は珍しく遅くまで起きていた。
何か理由があったわけではない。ただ、眠れなかっただけだ。
(なんだろね?)
心が、落ち着かないのだ。
冬独特の透き通った静寂な空気が意識を覚ましてしまったのか、昼に少しばかり転寝をしてしまったのが今になって響いているのか。
(………)
せっかくだから、と台所に立つ。米を多めに炊ぎ、炊飯器に設置してスイッチを押した。
(また明日、郷ちゃんに持っていってあげようかね)
彼の好きな押し寿司。本当は月曜辺りにしようと思っていたのだが、この際かまわないだろう。
冷蔵庫の中から具を取り出して、嬉々として下準備に精を出す弥生。
「あれ、おばあちゃん?」
 しばらくすると、ふたみが台所に顔を出した。確か、早めに部屋に戻ったはずだったのだが…。
「ああ……起こしちゃったかい?」
「ううん。なんだか眠れなくて……」
「おや、ふたみもかい?」
「おばあちゃんも……?」
 まあ、こういう日もあるだろう。ふたりは、顔を見合わせて少しだけ笑った。
 ふと、ふたみはテーブルに並ぶ皿に気づいて、祖母に訊く。
「おばあちゃん、押し寿司?」
「うん、そうだよ」
「明日、おじいちゃんのところにいくの?」
 押し寿司と見ればその発想に至るほど、弥生は頻繁に郷吉のところへ通っていた。
「そうしようかな、とね」
「ふたみも……手伝っていい?」
「ああ、構わないよ。……折角だから、明日、みんなで行こうか?」
 ひとみはここにはいないが……きっと喜んで頷いてくれるだろう。
「うん!」
 嬉しそうにふたみも頷いた。


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